セッション情報 | ワークショップ25(消化器内視鏡学会)プロポフォールを活用する |
---|---|
タイトル | 内W25-3:クリニックでの外来上部消化管内視鏡検査におけるプロポフォールの有用性 |
演者 | 山本 壽恵(菊地外科胃腸科・内視鏡科) |
共同演者 | 中村 哲郎(菊地外科胃腸科・外科DELIMITER菊地外科胃腸科・麻酔科), 菊地 剛(菊地外科胃腸科・内視鏡科DELIMITER菊地外科胃腸科・外科) |
抄録 | 【背景】安全で苦痛のない内視鏡検査が求められる中,従来のベンゾジアゼピン系薬剤に比べプロポフォールは導入・覚醒とも速やかであることで注目されている.しかし本邦では限られた施設のみで使用され,上部消化管内視鏡検査(EGD)における他剤との前向き比較試験はない. 【目的】EGDにおけるプロポフォール(P)とミダゾラム(M)のクリニックでの外来管理の利便性を比較する. 【対象と方法】2012年10月から2013年3月に当院外来でEGDを施行予定の20歳以上70歳未満で適格基準を満たし本研究の同意が得られた患者102例を対象とし, P群・M群のいずれかに無作為に割り付けた.初回投与量はP群0.6-1mg/kg,M群0.03-0.05mg/kg,追加時は初回量の1/3-1/2とし,bolus injectionを行った.麻酔深度,検査の受容性,覚醒時間,患者満足度を前向きに比較検討した (UMIN ID : UMIN000009142).麻酔深度はAmerican Society of Anesthesiologistsガイドラインの定義に従い,覚醒は意識清明で片足立ちと直線歩行が可能な時点とした. 【成績】男性45例,女性57例,平均年齢45(20-68)歳.P群M群各51例で患者背景に差はなかった.麻酔深度は両群とも80%以上がModerateあるいはDeepであり,90%以上は嘔吐反射が無いか軽度で検査中止例はなく受容性は良好だった.検査終了後P群の46例(90%)は速やかに歩行可能となり独歩でリカバリー室に移動した.内視鏡検査終了から覚醒までの平均時間はP群5(0-30)分で,49例(96%)の患者が15分以内に覚醒していた.M群の覚醒時間は平均24(0-60)分であり,P群では覚醒時間が著しく短縮された(p<0.01).終了後の聞き取り調査では両群とも約9割の患者でほとんど苦痛を感じず検査可能という評価が得られた. 【結論】患者満足度では両群に差はなかったが,プロポフォール使用群では検査直後から歩行可能で15分以内にほぼ覚醒状態となるため検査後の看視時間を短縮可能である.リカバリー室やマンパワーの制限があるクリニックにおいて苦痛のないEGDを実践するのに有用な薬剤と考えられる. |
索引用語 | プロポフォール, 上部消化管内視鏡 |