抄録 |
【目的】当院の通常・緊急内視鏡検査におけるプロポフォールの安全性・有効性について検討した.【対象】2012年10月から2013年2月までの上部内視鏡検査152件を対象とした. 患者年齢は62.6±16.9歳, 男性81例, 女性71例で,緊急検査67例, 通常検査85例. プロポフォールは全例間欠的静注法で使用し, 導入量と使用量, 鎮静前後の患者評価をASS(Aldrete Scoring System)を基に当院で作成した. 鎮静開始前後, 終了時のvital signs, 意識状態, 悪心・嘔吐, 深呼吸をスコア化し(8点満点), 6点以上で覚醒とした. 使用環境は救急カートの設置と救急医による応援体制を整え, 夜間内視鏡時には救急センター内で施行している.【成績】鎮静導入量は緊急群35.0±21.5mg, 通常群45.2±15.0mgで, 全投与量は緊急群50.2±21.3mg, 通常群55.7±24.2mgで有意差はなかった. 年齢別では, 導入量は50歳未満51±28mg, 50-79歳43.9±13.9mg, 80歳以上46±23.8mgであり, 全投与量は各々67.5±40.4mg, 57±28.2mg, 49±24mgだった. 酸素飽和度の90%以下への低下は緊急群の8.9%, 通常群の5.8%に見られた. 年齢別では50歳未満0%, 50-79歳7.9%, 80歳以上15.3%だった. 収縮期血圧の80mmHg以下への低下は緊急群の9%, 通常群の1%にみられ,各々10分以内に80mmHg以上へ回復した. 年齢別では有意差はなかった. 検査終了時の覚醒度は平均7点, 97.3%が検査終了時に覚醒し, 30分以内に全例覚醒した. 【結論】プロポフォールは, 緊急内視鏡時でも年齢に関わらず検査後に速やかな覚醒が得られる. 若年者では投与後の体動が強く総投与量が多くなる傾向にあった. 高齢者では呼吸抑制を来たし易いが, 導入量に追加せず検査終了まで良好な鎮静が得られた. |