セッション情報 ワークショップ25(消化器内視鏡学会)

プロポフォールを活用する

タイトル 内W25-8:

食道・胃ESDにおけるプロポフォールによる静脈麻酔の有用性

演者 佐藤 知子(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科)
共同演者 野中 哲(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科), 川口 洋佑(国立がん研究センター中央病院・麻酔科・集中治療科)
抄録 【目的】食道・胃ESDにおける麻酔科管理下の非挿管静脈麻酔と,プロポフォール(Prop)またはミダゾラム(MDZ)を用いた内視鏡医による静脈麻酔について,安全性と有用性を検討した.【方法】2011年 1月から2012年12月に,食道・胃ESDが施行された677症例(食道:95例,胃:582例)を対象とし,同時に複数病変を切除した症例は除外した.麻酔科管理下でProp・フェンタニルを用いた142症例(麻酔科群:平均年齢68.3,男/女 120/22,食道/胃 53/89)と,内視鏡医による通常静脈麻酔でProp・塩酸ペンタゾジンを用いた245症例(通常P群:平均年齢67.7,男/女 201/44,食道/胃 33/212),MDZ・塩酸ペンタゾジンを用いた290症例(通常M群:平均年齢71.0,男/女 198/92,食道/胃 9/281)の3群で,腫瘍径,治療時間,一括切除率,穿孔率,最低酸素飽和度(SpO2),体動の有無について検討した.【成績】麻酔科群/通常P群/通常M群の成績は,腫瘍径(mm,mean±SD)は23±10/15±9/10±6,治療時間(分)は123±47/108±42/96±37,一括切除率は98.6%/99.1%/99.3%,穿孔率は2.0%/0.4%/1.3%,最低SpO2 (%)は94.6±4.3/97.1±1.5/97.7±1.3,体動ありの割合は33%/74%/74%であった.麻酔科群vs.通常P群または通常M群の比較では,麻酔科群で腫瘍径が大きく,治療時間が長く,穿孔率が高かった.また,最低SpO2が低かったが,体動が有意に少なかった.通常P群と通常M群の比較では,通常P群で腫瘍径が大きく治療時間が長く,体動の割合は同じであった.鎮静不良のためPropの追加投与が通常M群60例(20.1%)で行われた.ESD中止例は,オーバーチューブ挿入に伴う喉頭浮腫による麻酔科群2例,基礎疾患による循環呼吸状態不安定による通常P群1例,通常M群1例が認められた.後日,麻酔科群は手術室にて全身麻酔下で,通常群は麻酔科管理下静脈麻酔でESDを施行し,問題なく完遂できた.【結論】麻酔科群では,難易度の高い症例に対して良好な鎮静が得られ,その有用性が示された.
索引用語 ESD, 静脈麻酔