セッション情報 ワークショップ25(消化器内視鏡学会)

プロポフォールを活用する

タイトル 内W25-10:

高齢者の上部消化管内視鏡治療時におけるPropofolの安全性評価

演者 野中 雅也(由利組合総合病院DELIMITER東京医大・消化器内科)
共同演者 後藤田 卓志(東京医大・消化器内科), 森安 史典(東京医大・消化器内科)
抄録 背景】上部消化管内視鏡治療を安全に施術する上では十分な鎮静が必要である.Propofolは覚醒良好で持続投与にて安定した鎮静が得られるが,高齢者の安全性を検討した報告は少ない.目的】高齢者におけるPropofolを用いた上部消化管内視鏡治療時の安全性につき検討す.対象と方法】2011年2月から2012年11月までに,Propofolを用いた上部消化管内視鏡治療(胆道系,食道ESD,胃ESD)が施行された185症例を対象.65歳未満のA群(40例),65歳以上75歳未満のB群(49例),75歳以上のC群(96例)に分け治療時間,Propofol使用総量,時間あたり使用量,術中血圧低下,脈拍低下,最低血中酸素飽和度,Propofol持続投与中断の有無,術後覚醒遅延の有無につき検討した.治療は経鼻酸素持続投与下(2L/分)下ペンタゾシン15mgを静脈注射後1% Propofol 0.5mg/kg/10secで導入し,Ramsay sedation scoreレベル5から6で治療開始した.維持量として0.3~0.5mg/kg/hrで静脈内持続投与した.結果】治療時間はA群85.2±57.6分,B群69.9±45.4分,C群70.5±42.1分.使用したPropofolの総量はA群389.6±322.7mg,B群272.4±175.2mg,C群253.4±201.1mg.時間当り使用量はA群4.89±2.08mg/min,B群4.09±1.55mg/min,C群3.46±1.19mg/min.収縮期血圧が80mmHg以下になった症例;A群で3/40例(7.5%),B群で3/49例(6.1%),C群で6/96例(6.3%),脈拍が50回/分以下になった症例;A群で6/40例(15%),B群で2/47例(4.3%),C群で10/88例(11.45%),施術中にPropofolの静脈内持続投与を中断した症例;A群で4/40例(10%),B群で3/49例(6.1%),C群で10/96例(10.4%),いずれも2群間に有意差は認めなかった.血中酸素飽和度が90%以下になった症例はA群で9/40例(22.5%),B群で6/49例(12.2%),C群で8/95例(8.4%)でA群とC群にP=0.024の有意差を認めた.術後の覚醒遅延はいずれでも認めなかった.結語】上部消化管内視鏡治療を行い得る高齢者においては,若年者と同様にPropofolは安全に使用可能であった.
索引用語 プロポフォール, 内視鏡治療