セッション情報 ワークショップ25(消化器内視鏡学会)

プロポフォールを活用する

タイトル 内W25-11:

臓器別に比較したESDにおけるプロポフォール使用症例の特徴

演者 朝日向 良朗(石川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 山田 真也(石川県立中央病院・消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】食道・胃ESD時にミダゾラムで鎮静を開始し,体動の多い鎮静困難な症例にはプロポフォールを併用することで,安全で安定したESDが可能であることを報告してきた.最近は大腸ESDに対するプロポフォール使用症例も増加しており,長時間を要し患者の苦痛が大きくなるようなESDにおいては欠かせない薬剤となりつつある.一方で,プロポフォール使用に関する各臓器での特徴の違いは明らかとなっていない.臓器別のプロポフォール使用症例を比較しその特徴を明らかにする.【方法】対象は2010年1月から2012年12月までに食道,胃,大腸ESD時にプロポフォールを使用した271例(食道83例,胃174例,大腸14例).年齢,性別,飲酒習慣,BMI,プロポフォール投与量,全術時間,術中Vital signの変動,合併症有無について臓器別に検討した.【成績】プロポフォール使用率は食道:胃:大腸ESDそれぞれ62.8:31.6:13.6%で,使用症例の平均年齢は66.4:67.6:64.8歳,男性の割合は80.7:83.3:57.1%であった.飲酒習慣の割合は73.5:52.3:21.4%,平均BMIは21.3:22.8:24.4kg/m2で,ともに3群間に有意差を認めた.他の2臓器に比べて大腸 ESDで男性の割合が低く,食道ESDで飲酒習慣の割合が高くかつBMIが低かった.プロポフォールの平均投与量は438:384:218mgで,有意差は認めないものの食道ESDで多かった.全術時間の平均は107.7:135.3:117.4分で,食道ESDは胃ESDに比べて有意に術時間が短かった(p=0.006).術中Vital signの変動において3群間で有意差は認めず,食道1例にプロポフォールによるアナフィラキシーショックを認めたが,ESD完遂不可能な合併症は認めなかった.【結論】食道ESD症例は,他の2臓器よりもBMIが低く,術時間が短いにも関わらずプロポフォールの投与量が多くかつ使用率が高かった.食道,胃,大腸のESDにおいて,プロポフォールは安全に使用可能であった.この背景として性別や飲酒習慣との関連も示唆されたが,これは各疾患そのものの特異性と関連している可能性があるため,今後更なる検討が必要である.
索引用語 プロポフォール, ESD