セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(基礎) |
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タイトル | 消P-5:リン脂質リモデリング酵素LPCAT1は肝細胞癌の進展を促進する |
演者 | 森田 剛文(浜松医大・2外科) |
共同演者 | 坂口 孝宣(浜松医大・2外科), 武田 真(浜松医大・2外科), 平出 貴乗(浜松医大・2外科), 柴崎 泰(浜松医大・2外科), 鈴木 淳司(浜松医大・2外科), 菊池 寛利(浜松医大・2外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院・外科), 瀬藤 光利(浜松医大・分子解剖学), 今野 弘之(浜松医大・2外科) |
抄録 | 【背景】近年,食生活の欧米化とともにメタボリックシンドロームが一般にも広く注目されるようになり,癌の悪性化メカニズムにおける脂質代謝の重要性についても関心が高まっている.しかし,脂質の分子種まで含めた検討は,これまで余り研究が行われていない.【目的】脂質代謝異常(特にリン脂質)と肝細胞癌の関連性を明らかにする.【実験1】質量顕微鏡法を脂質解析のスクリーニングとして用いた.質量顕微鏡法とは,組織内における脂質分布の画像化と物質の同定を可能にする解析手法である.【結果1】肝細胞癌患者の手術摘出標本37例を用いて解析を行ったところ.リン脂質の分布が癌部と非癌部で異なることが明らかとなった.特にホスファチジルコリン(PC(16:0/16:1))は癌部で多く,そこからsn-2位のパルミチン酸が外れたリゾホスファチジルコリン(LPC(16:0))は非癌部で多かった.【実験2】リン脂質リモデリング経路(Land’s cycle)の異常がリン脂質分布の原因との仮説を立て,LPCに脂肪酸を付加するacyltransferase(LPCAT)の発現を調べた.またPCから脂肪酸を取り除くPLA2の発現を調べた.【結果2】組織抽出RNAまたは蛋白を用いた解析で,癌部におけるLPCAT1過剰発現が認められた.PLA2の発現に関しては,癌部と非癌部で差が無かった.【実験3】LPCAT1の肝細胞癌に対する影響を調べるため,肝細胞癌細胞株(Huh7,HepG2)でLPCAT1 をノックダウンまたは過剰発現させた.【結果3】LPCAT1ノックダウンすると,control群と比較して増殖能や浸潤能が抑制され,過剰発現させると逆の効果が確認された.【考察】癌部と非癌部でリン脂質の分布が異なる原因として,LPCAT1の過剰発現が関係していると思われた.リン脂質2重膜の構成成分を制御するLPCAT1の発現を変化させることで,細胞増殖および浸潤が変化した. |
索引用語 | LPCAT1, HCC |