抄録 |
目的:Gd-EOB-DTPA MRI(以下EOB-MRI)の肝細胞相で低信号に検出される結節は高率に多血化する事が報告されている.今回我々はこれらの結節の多血化に寄与する因子を検討した.対象:2008年1月から2011年3月の間に肝内に境界病変を認めた288症例448結節を対象とした.64症例は多血性肝癌治療歴のない患者で,222症例は根治術をうけ多血性肝癌の併存のない患者である.単変量解析により多血化の特徴を検討するとともに,多変量解析にて多血化に寄与する独立因子を検討した.対象患者は男性186症例,女性102症例,平均年齢は73歳,HCV陽性202症例,HBV陽性52症例,NBNC33症例で,EOB-MRIの肝細胞相で計測した平均腫瘍径は9±4.3mm,平均観察期間は482日であった.結果:全結節の累積多血化率は1年17%,2年41%であった.単変量解析では背景肝(p=0.039),MRIの造影前T1強調画像で低信号(p=0.02),脂肪抑制T2強調画像で高信号(p=0.0029),腫瘍径10mm以上(p=0.0156)が多血化と関連し,多変量解析では脂肪抑制T2強調画像で高信号(p<0.001)が結節の多血化因子として抽出された.結論:EOB-MRIの肝細胞相で低信号に描出される結節は高率に多血化する.造影前のT2強調画像の評価を詳細に検討する事で結節の多血化を予見できる可能性が示唆された. |