セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(診断)

タイトル 消P-8:

肝臓の健診超音波検査におけるAcoustic Structure Quantification (ASQ)法の有用性の検討

演者 八島 陽子(杏雲堂病院・消化器肝臓内科)
共同演者 佐藤 新平(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 河井 敏宏(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 杉本 貴史(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 菅田 美保(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 小尾 俊太郎(杏雲堂病院・消化器肝臓内科)
抄録 【目的】ASQ法は超音波画像の不均一性を定量評価する方法であり汎用機で簡便に測定可能である.正常肝に比し硬変肝では値が高くなることを以前我々は報告した(2009,APASL)が,今回は健診受診者の肝ASQ値に関係する因子を検討した.
【方法】2012年4-11月の間の当院健診受診者を対象とした.超音波診断装置はAplio XG(東芝メディカルシステムズ社製)を用い,通常の検査の間にASQ modeで右肋間から大きな脈管構造を避けた肝実質の写真を撮影し後日ASQ値を測定した.値は深度2-7cmでROIを設定し各例で3回以上測定し中央値を用いた.ASQ値として,ヒストグラム機能のMode値を使用した.ASQ値と,年齢・性別・BMI・血液検査データ(GOT,GPT,γGTP,ALP, Tchol,TG,Plt,HbA1c)・Bモードでの検査所見との関係を比較した.本研究は当院の倫理委員会の承認を得た.HBs抗原陽性,HCV抗体陽性者は除外した.
【成績】計329人(平均年齢47歳,男性187人,BMI平均22.4kg/m2)の画像を解析した.脂肪肝が106人(軽度67人,中等度以上39人)であった.血液検査結果の平均値はGOT21.8IU/l,GPT23.5IU/l,γGTP38.3IU/l, ALP189.5IU/l, Tchol202.6mg/dl, TG115.7mg/dl,Plt25.4万/μl,HbA1c 5.4%であった.全例のASQ値の平均は120Cm2 (93-152,中央値119)であった.各血液検査の値と年齢・BMIで無相関の検定の結果,年齢,BMI,GOT,GPT,γGPT,ALP,Tchol,TG, HbA1cと負の相関がみられみられた.性別では男性115,女性125Cm2 (p<0.001),脂肪肝あり群では111,なし群では124Cm2 (p<0.001)と有意差がみられた.脂肪肝の中で軽度,中等度以上との比較でも有意に中等度以上の脂肪肝でASQ値が低値であった.多変量解析の結果,性別・脂肪肝有無・TG値で有意差がみられた.また,ASQ法での測定は検査時間にほとんど影響を与えなかった.
【結語】ASQ法は脂肪肝との有意な関係がみられた.今後も症例の蓄積必要だが,簡便であり健診での健康指導等に活用の可能性もあると考えられた.
索引用語 肝臓, ASQ