セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(診断)

タイトル 消P-10:

肝動脈塞栓術後に待機的肝切除を施行した肝内動脈瘤破裂の一例

演者 山口 紫(国立金沢医療センター・外科)
共同演者 大西 一朗(国立金沢医療センター・外科), 羽柴 智美(国立金沢医療センター・消化器科), 丸川 洋平(国立金沢医療センター・消化器科), 森田 晃彦(国立金沢医療センター・外科), 道輪 良男(国立金沢医療センター・外科), 黒阪 慶幸(国立金沢医療センター・外科), 太田 肇(国立金沢医療センター・消化器科), 牧田 伸三(国立金沢医療センター・放射線科), 笠島 里美(国立金沢医療センター・臨床検査科), 川島 篤弘(国立金沢医療センター・臨床検査科), 原田 憲一(金沢大大学院・形態機能病理学), 竹川 茂(国立金沢医療センター・外科), 萱原 正都(国立金沢医療センター・外科)
抄録 【症例】40代女性【現病歴】某年5月中旬,牡蠣摂食後に下痢が出現し,一旦軽快するも6月になり再度下痢と倦怠感が出現した.某日,トイレ歩行時に意識消失したため救急搬送となった.搬送後,補液にて一旦意識は回復するも右季肋部痛が持続していた.来院時の血液検査では明らかな貧血は認めなかったが,血小板減少,肝障害を認めた.腹部単純CTにて右葉後区域実質の濃度不均一と肝周囲,ダグラス窩の血性腹水を指摘されたため,同日緊急入院となった.【入院後経過】入院後まもなく再度意識消失,心肺停止状態となり,直ちに心肺蘇生を行った.心肺蘇生,輸血でバイタル安定化後,血管造影を施行したところ,右肝動脈に5mm大の動脈瘤を認めたため,肝動脈塞栓術(TAE)を施行した.その後,再出血は認めず全身状態は改善傾向を認めたが,第15病日の造影CTにて肝動脈瘤の増大と肝動脈末梢に小動脈瘤の多発を認めたため,再度TAEを施行した.しかし,その後も肝内に小動脈瘤が出現し,再破裂が危惧されたため,外科的切除の方針となり第50病日に肝右葉切除術を施行した.病理所見では,背景に拡張した動脈と二次的な変化として全体に中心静脈や門脈の拡張など動脈瘤破裂後の変化を認めるのみで,動脈瘤の原因となる病変は認めなかった.術後経過は良好で,現時点で肝動脈瘤の再発は認めていない.【考察】肝内動脈瘤は稀な疾患で破裂症例の死亡率は34%とも報告されており,予後不良な疾患である.医中誌で「肝内動脈瘤」で検索した限り,1990年~2012年の期間に9例の報告例があり,肝切除を行ったのは2例のみであった. 【結語】肝内動脈瘤破裂は予後不良であるが,迅速な一時止血の後に待機的肝切除を施行することにより,救命可能な疾患と考えられた.
索引用語 肝内動脈瘤, 肝切除