セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(B型肝炎) |
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タイトル | 消P-11:B型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤投与例の臨床的検討 |
演者 | 才川 宗一郎(県立奈良病院・消化器内科) |
共同演者 | 中谷 敏也(県立奈良病院・消化器内科), 藤永 幸久(県立奈良病院・消化器内科), 澤田 保彦(県立奈良病院・消化器内科), 神戸 大介(県立奈良病院・消化器内科), 下里 直隆(県立奈良病院・消化器内科), 永松 晋作(県立奈良病院・消化器内科), 松尾 英城(県立奈良病院・消化器内科), 菊池 英亮(県立奈良病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】B型慢性肝炎(CHB)に対する核酸アナログ(NA)製剤(ラミブジン(LAM),アデホビル(ADV),エンテカビル(ETV))は抗ウイルス効果が強く,広く臨床で使用されている.今回我々は,CHBでNA製剤を使用した症例の治療効果と臨床経過につき検討した.【方法】対象は2001年以降にNA製剤を開始し12ヶ月以上経過を観察しえた69例(年齢60.4±11.7歳,男性38例,女性31例,観察期間67.7±34.1ヶ月).投与薬剤はLAM 16例,LAM+ADV 9例,ETV 44例であった.NA製剤開始後のHBV陰性化率とALT値,セロコンバージョン(SC)率を薬剤別に検討した.HBV陰性化は,HBV-DNA(TaqManHBV ver2.0)未検出と定義した.またHBV陰性化不成功例と再燃例(HBV-DNAが6ヶ月間未検出であった後に再上昇した場合),治療開始後の発癌例についても検討した.【成績】NA製剤開始後のHBV陰性化率はLAM 12.5%(2/16),LAM+ADV 66.7%(6/9),ETV 72.7%(32/44)で,LAMは他の2者に比し有意に低率であった(p<0.01).HBV陰性化不成功に寄与する因子(単変量解析)としてNA製剤開始前のHBV-DNA量が多いこと,AFP>10.0ng/mL,体重過多が挙げられた.ALT正常化(ALT≦30)率/SC率はLAM 62.5%/ 53.8%,LAM+ADV 85.7%/ 50.0%,ETV 75.0%/27.3%で有意差はなかった. HBV再燃率はLAM 50.0%(2/4),LAM+ADV 14.3%(1/7),ETV 3.0%(1/33)で,ETVはLAMより有意に低率であった(p<0.01).治療開始後に肝細胞癌(HCC)を認めた症例は8例で,治療開始時すでにHCC治療歴のある症例が4例(ETV4例),HCC治療歴のない症例が4例(LAM 1例,LAM+ADV 1例,ETV 2例)であった.治療開始後にHCC発現に寄与する因子(単変量解析)として,HCC治療歴があることとPLT<10万が抽出された.【結論】CHBに対するNA製剤はETVが最も有用であった.HBV陰性化不成功に寄与する因子としてHBV-DNA量,AFP値,体重が挙げられた.NA製剤開始後の肝発癌にはHBV-DNA量だけでなく肝線維化も重要な因子である可能性が示唆された. |
索引用語 | B型慢性肝炎, エンテカビル |