セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(B型肝炎)

タイトル 消P-12:

B型慢性肝疾患患者での核酸アナログ製剤投与中止による肝炎再燃リスクの検討

演者 吉田 雄一(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 宮坂 昭生(岩手医大・消化器・肝臓内科), 遠藤 龍人(岩手医大・消化器・肝臓内科), 滝川 康裕(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤は再燃の恐れから長期間投与を要する.しかし投与中止後再燃なく経過する症例も存在し,HBs抗原(HBsAg)やHBコア関連抗原(HBcrAg)が治療中止の指標としてスコア化されている(肝臓2012;53:237-242).今回,当科でLamivudine(LAM)単剤,Adefovir(ADV)併用,Entecavir(ETV)単剤を投与したB型慢性肝疾患症例で投与中止による肝炎再燃リスクを同スコアにより評価した.【対象】当科で核酸アナログ製剤治療を行った83例[平均年齢50歳,男女比59:24,慢性肝炎(CH)60例,肝硬変(LC)23例].【結果】1)LAM:初回LAM投与例は41例(男女比31:10,CH29例でeAg陽性:陰性=17:12,LC12例でeAg陽性:陰性=8:4).投与開始時HBV DNAは7.9±1.0 log copy/mlで,投与中に薬物変更された症例等を除いた8例で2年以上LAM単独投与を行った.HBsAgは投与開始8年後までに,HBcrAgは2年後に減少を認めた.8年後,3例でHBVDNAが検出感度以下で,HBsAg,HBcrAgのスコアで2例が低・中リスクであった.2)ADV:LAM治療中の20例(男女比15:6,CH11例でeAg陽性:陰性=8:3,LC9例で全例eAg陽性)に追加され,投与開始時HBV DNAは7.4±0.8log copy/mlで,10例がHBV DNAが感度以下に,5例がeAg陰転化した.HBsAg,HBcrAgはADV追加2年後に減少を認めた.2,4年後で各々1,2例(8.3%,13%)が低・中リスクであった.3)ETV:初回ETV投与例は42例(男女比28:14,CH31例でeAg陽性:陰性=15:16,LC11例でeAg陽性:陰性=4:7).投与開始時HBV DNAは7.0±1.7log copy/mlで,35例でHBV DNAが感度以下になり,4例がeAg陰転化した.HBsAg,HBcrAgはETV投与2年後に減少を認めた.HBcrAg<3.0 log copy/mlとなる症例は投与前,2,4年後で各々1,4,5例であった.低・中リスクとなる症例は2,4年後で各々4,6例(16.6%,40%)であった.【結語】核酸アナログ製剤投与中止後のB型肝炎再燃のリスクが低・中程度の症例も存在するが,慎重な中止判断を要する.
索引用語 核酸アナログ, 投与中止