セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(C型肝炎2)

タイトル 消P-20:

高齢持続正常HCVキャリア(PNALT)の背景におけるIL28Bの意義

演者 佐藤 秀一(島根大・光学医療診療部)
共同演者 古田 晃一朗(益田地域医療センター医師会病院・内科), 岡本 栄佑(益田赤十字病院・消化器内科), 齋藤 宰(島根大附属病院・肝臓内科), 飛田 博史(島根大附属病院・肝臓内科), 三宅 達也(島根大附属病院・肝臓内科), 三代 剛(島根大附属病院・消化器内科), 大嶋 直樹(島根大附属病院・消化器内科), 結城 崇文(島根大・光学医療診療部), 石原 俊治(島根大附属病院・消化器内科), 木下 芳一(島根大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】IL28B近傍のSNPは,C型慢性肝疾患患者におけるIFN治療効果を予測する上で,極めて重要な因子である.またこのSNPがメジャーホモであることは,C型肝炎ウイルス(HCV)感染時の自然排除や,線維化進展遅延にも関与するといわれている.一方高齢HCVキャリア―においては通常肝疾患進展例が多いが,PNALT例も一部にみられる.今回我々は高齢持続正常HCVキャリア(Persistent normal ALT:PNALT)症例においてIL28Bが関与するか否かを検討した.【方法】2013年2月現在において当大学附属病院肝臓内科通院中で,HCVRNAの陽性が確認されており,これまで肝炎治療歴がなく,ALTが過去3年以上30 IU/L以下,血小板が15万/µL以上の10例においてIL28Bに関してインベーダー法を用いて測定した.この結果をALT異常のある高齢HCV陽性者および,島根県内における,住民健診例355例,C型慢性肝炎治療例60例におけるIL28B遺伝子多型と比較検討した.【結果】高齢PNALT 10例(平均年齢71.1歳,女性6例)の内訳は,HCV RNA量6.31LogIU/mL,遺伝子型1型3例,2型7例,直近の平均ALT 21.5IU/L,血小板数21.2万/µLであった.HCV遺伝子型をマッチさせ,抗ウイルス療法歴がないALT異常のある高齢HCV陽性者10例(平均年齢68.8歳,65~76歳,女性8例)を対象とした.HCV RNA量6.29LogIU/mL,遺伝子型1型3例,2型7例,直近の平均ALT 48.2 IU/L,血小板数21.2万/µLであった.高齢PNALT10例のIL28BのSNPは全例TTであった.対象群は7例がTT,3例はTGであった.また,島根県の住民健診結果ではTT296例(83.4%),TG55例(15.5%),GG4例(1.1%)C型慢性肝疾患患者60例ではTT47例(78.3%)TG13例(21.7%)であった.【考察】高齢者PNALTにIL28BがTTであることが関与している可能性が示唆された.
索引用語 IL28B, HCV