セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(C型肝炎2)

タイトル 消P-25:

C型慢性肝炎患者における抗ウイルス治療前後での神経機能異常と脳内グルコース代謝動態の変化

演者 佐原 圭(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 吉田 雄一(岩手医大・消化器・肝臓内科), 宮坂 昭生(岩手医大・消化器・肝臓内科), 遠藤 龍人(岩手医大・消化器・肝臓内科), 滝川 康裕(岩手医大・消化器・肝臓内科), 加藤 章信(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【背景と目的】C型慢性肝炎における抗ウイルス療法はC型慢性肝炎における治療の中心である.しかし,その抗ウイルス療法の副作用としてうつ症状などの精神神経機能異常はその治療の継続において重要な問題となる.その治療における精神神経機能異常と脳内グルコース代謝(CMRglu)の変化をFDG-PETを用いて観察,比較検討した.【対象と方法】抗ウイルス療法(インターフェロン単独療法,インターフェロン+リバビリン併用療法)を施行するC型肝炎患者7例に対し,治療前,治療開始から8週後,治療終了後にFDG-PET,神経機能検査(N-Pテスト),うつ状態の評価(SDSテスト)を行い比較検討した.【成績】治療前と治療開始から8週後を比較すると,すべての患者でうつ状態の評価は悪化した.脳内グルコース代謝(CMRglu)は6例は低下傾向を示した.1例は増加傾向を示した.神経機能検査においては明らかな傾向は認めなかった.抗ウイルス療法治療終了後も比較検討した.治療前,治療開始から8週後と比較すると,うつ状態の評価は治療終了後では治療前と同様に回復した.また,脳内グルコース代謝(CMRglu)を治療前と治療終了後で比較すると,治療前と同様に回復あるいは治療前に較べて増加傾向を示した.【結論】C型慢性肝炎における抗ウイルス療法は精神神経機能とうつ症状,脳内グルコース代謝に影響を及ぼしていることが示唆された.やはり,うつ症状においては治療中に悪化する可能性が高く,治療後には回復する可能性が高いと考えられた.脳内グルコース代謝においては,治療中では低下し,治療終了後に回復する傾向があることが認められた.これらの変化は抗ウイルス療法自体が脳内物質代謝および神経機能異常に深く影響することが考えられた.今後,症例数を増やしさらなる詳細な検討をし,そのうつ症状および神経機能異常の機序の解明を目指し,より安全な抗ウイルス療法の開発を検討する予定である.
索引用語 抗ウイルス療法, 精神神経機能異常