セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓(C型肝炎3)
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タイトル |
消P-29:HCV関連肝細胞癌におけるProtein kinase Rのc-Fosおよびc-Jun活性化を介した細胞増殖促進作用
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演者 |
渡辺 崇夫(愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学) |
共同演者 |
徳本 良雄(愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学), 日浅 陽一(愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学) |
抄録 |
【目的】Protein kinase RNA-dependent (PKR)はHCV複製によって増加し,HCV増殖を阻害する細胞内蛋白である.またインターフェロン (IFN)により誘導され,IFNの抗HCV効果の中心となる分子である.しかし演者らはPKRがC型肝炎患者の肝細胞癌組織において非癌部組織に比べて高発現していることを同定した.HCV関連肝細胞癌におけるPKR役割を明らかにすることを研究の目的とした.【方法】HCV関連肝細胞癌株としてHuh7.5.1を用いてHCV複製可能なJFH1, H77sを作成した.同細胞株においてPKR siRNA,およびPKR発現プラスミドを用い,PKRの発現を増減させることで変化する遺伝子をPCRアレイ,リアルタイムRT-PCR,ウエスタンブロット法で確認した.細胞増殖の変化についてMTSアッセイを行った.さらにヒト肝細胞癌組織を用いて,同定した分子についてRT-PCR,ウエスタンブロット法にてPKR発現変化との関連について検討した.【成績】PKRの発現の増減によりMAP kinase関連遺伝子であるc-Fos, c-Junの発現が増減した.さらにPKRはそれぞれの上流であるErk1/2およびJNKのリン酸化を誘導した.またPKR発現に伴う細胞増殖の亢進がみられ,その亢進はErk1/2→c-Fos, JNK→c-Junの両経路に依存していた.ヒト肝細胞癌組織においてもPKRはリン酸化c-Fos,リン酸化c-Junの発現を増加させていた.【考察】HCV関連肝細胞癌において過剰発現するPKRは細胞増殖能を亢進させ,癌の進展に寄与している可能性があり,その作用はc-Fos, c-Junの活性化に依存していた.HCV関連肝細胞癌において過剰に発現するPKRの抑制が癌の進展阻止に関わる可能性が示唆された. |
索引用語 |
肝細胞癌, HCV |