セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(C型肝炎3)

タイトル 消P-31:

代償性C型肝硬変におけるインターフェロン治療を目的とした脾臓摘出術の検討

演者 水上 敦喜(富山県立中央病院・内科)
共同演者 酒井 明人(富山県立中央病院・内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院・内科)
抄録 【目的】血球減少症を伴う代償性C型肝硬変(C-LC)に対するインターフェロン (IFN)治療を施行する際の脾臓摘出術の臨床的意義について,脾摘術前後の血球数の変化,合併症,IFN治療の効果,その後の肝予備能の推移や肝細胞癌(HCC)の出現の有無などの面より検討した.【方法】当院にて過去9年間に,IFN治療前に脾摘術が施行された代償性C-LC 11例を対象とした.男女比は3対8で,平均年齢62.5歳,Ib高ウイルス7例,Others4例で,ガイドラインに従い2剤もしくはIFN単剤療法を選択した.平均観察期間は脾摘術後1793日間.門脈血栓予防薬は11例全例で投与せず,肺炎球菌ワクチンは脾摘後全例に実施した.【結果】脾摘前と後のIFN治療開始直前での血球減少の改善は,好中球数(/μL)1586±124から2263±303(P<0.05),血小板数(万/μL)6.77±0.58から20.1±1.40(P<0.05) とそれぞれ著明に改善した.赤血球数,Hbでは前後で有意な変化はなかった.術後の合併症では,臨床的に問題となる門脈血栓例は認めず,1例に脾摘術後菌血症を認めたが,抗生剤投与で軽快した.IFN治療は減量する例はみられたものの全例完遂でき,SVR率はIb高ウイルス例で7例中3例43%,Others例は100%であった.Ib高ウイルス例でSVRとならなかった4例も全例IFN治療中ウイルス陰性化していた.再燃した4例全例においてHCVRNA陽転後Peg-IFN少量間欠投与中であり,2例で現在ウイルス陰性化が続いている.治療前後においてPT(%)は86.9±2.6から93.2±3.5,血清アルブミン値(g/dl)3.62±0.09から3.75±0.12と肝予備能はやや改善傾向を認めた.脾摘後IFN治療したC-LC 11例中SVRとなったOthersの1例にHCCの出現をみたが,TACE+RFAにより良好にコントロールされている.【結語】代償性C-LCに対するIFN治療を目的とした脾摘術は,合併症に配慮すれば安全に実施でき,IFN治療の完遂率,奏効率を高め,肝予備能もやや改善することが示された.
索引用語 脾臓摘出, C型肝硬変