セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD)

タイトル 消P-33:

当院の糖尿病患者におけるNAFLDの検討

演者 出田 貴康(岐阜赤十字病院・消化器内科)
共同演者 松下 知路(岐阜赤十字病院・消化器内科), 杉江 岳彦(岐阜赤十字病院・消化器内科), 高橋 裕司(岐阜赤十字病院・消化器内科), 伊藤 陽一郎(岐阜赤十字病院・消化器内科), 名倉 一夫(岐阜赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】NAFLDは,糖尿病と関連の深いことは指摘されているが,糖尿病患者におけるNAFLDの検討は多くない.2012年1月から2012年6月の半年間に糖尿病で当院を新規に受診した患者の中のNAFLDを検討した.【方法】2012年1月から6月までの当院の新規の糖尿病患者311人(1型13人,2型298人)のうち,6ヶ月以上肝障害の続く慢性肝障害を呈する患者30名を拾い上げ,内訳を検討した.【成績】慢性肝障害の30人のうち,脂肪肝は12人に認めた.脂肪肝の診断方法はCTが9人,腹部エコー2人,生検1人,であった.アルコール摂取量20g/日以下の脂肪肝で他の明らかな原因がない患者をNAFLDとすると,30人の慢性肝障害の内訳は,NAFLD8人,アルコール性肝炎9人,C型肝炎2人,原発性胆汁性肝硬変1人,原因不明10人であった.NAFLD群で,HbA1cの最高値(平均8.1%)と最低値(平均6.7%)の時点の平均値を比較するとAST41.8→28.5,ALT48→34.5,ALP361.9→293.9,γGTP93.1→63.9,UA6.3→5.9とHbA1c低下に伴いいずれも低下していた.LDL-Cho 96.6→99.7,HDL-Cho 51.0→52.6は上昇していた.NAFLD群の合併症は高血圧6人,脂質異常症6人,高尿酸血症1人であった. NAFLDとアルコール性肝炎の平均値を比較するとAST/ALTは,0.87と1.11,血小板は21.1万と21.1万,Albは4.2と4.0,BMIは35.2と23.0で,どちらも肝癌の合併はなかった.治療薬はどちらの群もビグアナイド薬,GLP-1受容体作動薬,DPP-4阻害薬,インスリン製剤,SU剤が使用されていた.【考案】当院の新規糖尿病患者の中のNAFLDの患者は2.5%であった.Alb低値であったり糖尿病が改善しているのにかかわらず,肝障害が改善しないものはNASHが疑われるが,今回の検討ではそのような例は認めなかった.また糖尿病治療が肝障害の改善に重要である.繊維化マーカーなどのNASHのhigh risk症例についての囲い込みの精査は行われていなかったが,NASHには早い段階での消化器内科医の介入が求められる.
索引用語 NAFLD, 糖尿病