セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓(NASH/NAFLD)
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タイトル |
消P-34:当院で経験した非アルコール性肝炎(NASH)患者に発症した肝細胞癌(HCC)3例の検討
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演者 |
一條 哲也(安曇野赤十字病院・消化器内科) |
共同演者 |
樋口 和男(安曇野赤十字病院・消化器内科), 須藤 貴森(安曇野赤十字病院・消化器内科), 望月 太郎(安曇野赤十字病院・消化器内科) |
抄録 |
【緒言】NASH起因のHCCの病態や発生機序はまだ不明な点が多い.当院で診断されたNASH患者に発症したHCC3症例を検討した.【症例1】67歳男性.BMI29.4.飲酒歴なし.62歳時より高血圧症,糖尿病にて療開始.63歳肝生検よりNASH肝硬変期と診断.67歳PIVKA-II242と急上昇認め,肝S6に3cm大のHCC診断.肝障害度Aで肝切除術施行.術後1年6ヶ月で無再発生存中.単純結節型,Stage II,治癒度A2.組織像は,高分化型から中分化型のHCC,背景肝は,A1F4の肝硬変であった.【症例2】65歳女性.BMI26.8.飲酒歴なし.57歳時より高血圧症,糖尿病にて加療開始.同時に肝障害認め腹腔鏡検査でNASH肝硬変期と診断.63歳時PIVKA-IIの上昇と肝S6に15mm大HCC診断.肝障害度BでPEIT施行.6ヶ月後に肝内多発再発認めるも,肝不全で治療出来ず.術後2年10ヶ月目肝不全で死亡.【症例3】68歳女性.BMI30.3.飲酒歴なし.60歳時より高血圧症,糖尿病にて加療中.63歳時に画像診断,検査データよりNASH肝硬変期と診断.67歳時PIVKA-II45と上昇を認め,その際画像検査で7mm大のSOLを認めた.3ヶ月後24mm大と増大HCCと診断.肝障害度Cで無治療経過観察.肝不全コントロール中.発症1年5ヶ月後で生存中.【考察】全例糖尿病と肥満を合併したNASHであった.女性の2例はいずれも発癌時に肝不全状態にあり,肝癌の治療が思うようにできなかった.NASHによるHCCの発症はインスリン抵抗性,高インスリン血症を背景に複数の因子が関与して生じると報告されている.全症例に2型糖尿病の合併を認めインスリン抵抗性を認めた.糖尿病治療はSU剤主体であったが,1例はインスリン治療が開始されていた.食事療法や減量のコントロールが不良で発がんの誘因となった可能性がある.腫瘍マーカーでは,全例PIVKA-IIが,急上昇したがAFPは正常範囲内であった.NASH診断からの発癌期間は平均4年7ヶ月であった.【結論】糖尿病を合併したNASH肝硬変期患者に発症したHCCの3症例を経験した. |
索引用語 |
HASH, HCC |