セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD)

タイトル 消P-35:

大規模健常者コホートにおける脂肪肝の背景因子についての横断解析

演者 奥新 和也(東京大・消化器内科)
共同演者 山道 信毅(東京大・消化器内科), 高橋 悠(東京大・消化器内科), 藤永 秀剛(東京大・消化器内科), 堤 武也(東京大・消化器内科), 新谷 良澄(東京大・消化器内科), 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】脂肪肝はメタボリックシンドローム(Met-S)の肝臓における表現型であり,近年本邦でも増加傾向である.一方,Helicobacter pylori(HP)は様々な疾患を引き起こす重要な上部消化管環境規定因子であり,Met-Sとの関連も指摘されている.そこで脂肪肝の背景因子についてHPおよびMet-S関連因子を中心に,多数例の人間ドック受診者の結果を基に解析した.【方法】千葉県の単一施設人間ドックの2010年受診者を対象に,脂肪肝の有無と年齢・身長・体重・BMI・血液検査諸項目・最高血圧・最低血圧・飲酒頻度・喫煙習慣・HP抗体定性との相関について,男女別に解析した.wilcoxon検定とχ2検定による単変量解析で有意な因子を選択した後(p<0.0005),多重共線性を考慮して因子を絞り,標準化ロジスティック回帰を用いた多変量解析を適用した.【成績】腹部超音波検査が施行され,データ欠損などの除外基準に該当しない15188人(男性8389人,女性6799人,平均年齢48.6±9.0歳)のうち,脂肪肝は男性3961人(47.2 %),女性1581人(23.3 %)に認められた.単変量解析で男女共に有意な因子は,年齢・体重・BMI・AST・ALT・HDL-chol・TG・HbA1c・最高血圧・最低血圧・飲酒頻度であり,HP抗体定性は女性でのみ有意であった.多重共線性を考慮して9因子を選別後に標準化ロジスティック回帰分析を行なったところ,女性ではBMI(標準化偏回帰係数SC=1.66),TG(0.64),ALT(0.49),HDL-chol低値(0.29),年齢(0.26),HbA1c(0.25)の6因子,男性ではBMI(1.18),ALT(0.73),TG(0.35),HbA1c(0.31),HDL-chol低値(0.29)の5因子が有意な正相関を認めたが,HP抗体定性・飲酒頻度は有意な相関を認めなかった.【結論】我が国の大規模健常者コホートを用いた疫学解析から,多くのMet-S関連指標の脂肪肝との関連が示唆されたが,HPは脂肪肝との有意な相関を示さなかった.
索引用語 脂肪肝, Helicobacter pylori