セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD)

タイトル 消P-37:

NASH患者における上部消化管内視鏡所見の特徴

演者 山本 俊祐(大阪労災病院・消化器内科)
共同演者 小森 真人(大阪労災病院・消化器内科), 佐藤 雅子(大阪労災病院・消化器内科), 岡原 徹(大阪労災病院・消化器内科), 鈴木 麻菜(大阪労災病院・消化器内科), 中村 昌司(大阪労災病院・消化器内科), 末吉 弘尚(大阪労災病院・消化器内科), 吉井 俊輔(大阪労災病院・消化器内科), 有本 雄貴(大阪労災病院・消化器内科), 平尾 元宏(大阪労災病院・消化器内科), 法水 淳(大阪労災病院・消化器内科), 吉原 治正(大阪労災病院・消化器内科)
抄録 【目的】Nonalcoholic steatohepatitis (NASH)患者は大腸ポリープ罹患率が高いとされるが,上部消化管異常の特徴については明らかにされていない.本検討ではNASH患者での上部消化管異常所見の特徴を研究することを目的とした.
【方法】1) 1998年3月から2012年7月に当院で組織学的にNASHと診断した94例のうち上部消化管内視鏡検査を行った36例を「NASH群」とした.2)当院の人間ドックで2012年1月から9月に内視鏡検査を受けた118人のうち,BMI25以上,肝機能障害,脂肪肝,糖尿病を有する45例を除外した73例を「健常群」,3)BMI25以上の24例を「肥満群」とした.食道裂孔ヘルニア,逆流性食道炎,バレット食道,萎縮性胃炎,表層性胃炎,びらん性胃炎,胃潰瘍・潰瘍瘢痕,胃ポリープに関して有所見率を3群間で比較検討した.
【成績】各群の年齢はNASH/健常群/肥満群で65 ± 12/ 64 ± 14/ 72 ± 13 (mean ± SD),性別(男性,女性)は22,14/ 35,38/ 20,4,BMIは26.6 ± 3.8/ 21.6 ± 1.8/ 26.1 ± 1.2 (mean ± SD)であった.3群間で年齢に差はなく,BMIは NASH群と肥満群で健常群より有意に高かった(p<0.001).NASH群と肥満群間ではBMIに差はなかった(p=0.83).NASH群のうち6例(17%)は肝硬変で門脈圧亢進性胃症,食道静脈瘤が2例でみられた.食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎は健常群よりNASH群で有意に高かった(78/51% vs. 50/26%,p=0.01/0.01).これらの所見は健常群と肥満群では差はなかった.バレット食道,萎縮性胃炎,表層性胃炎,胃潰瘍,胃ポリープは3群間で差はなかった.びらん性胃炎はNASH群で健常群より有意に高く(44%,16/36 vs. 25%,18/73; p=0.036),また肥満群よりも有意に高かった(17%,4/24; p=0.025).
【結論】 NASH患者は食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎を有する頻度が健常者より高く,びらん性胃炎については健常者群および肥満群の両群より高かった.
索引用語 NASH, 上部消化管