セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患,その他の肝炎)

タイトル 消P-38:

アルコール性肝障害患者における単球の検討

演者 大濱 日出子(大阪医大・2内科)
共同演者 朝井 章(大阪医大・2内科DELIMITER大阪医大附属病院・中央検査部), 土本 雄亮(大阪医大・2内科), 福西 新弥(大阪医大・2内科), 津田 泰宏(大阪医大・2内科), 福田 彰(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 [目的]アルコール性肝障害の患者は,時に易感染性であり,重篤な感染症を契機に死に至る事がある.特にそのような患者においては大腸菌といった腸管細菌叢の常在菌がtranslocationを起こし,それがまず肝臓に至りその後全身に拡散し敗血症を発症する.その際には一般的に抗生剤にて治療する事が多いが,近年多剤耐性菌の出現が認められ,抗生剤を使用しない新たな治療法が切望されている.細菌感染に対してはまず自然免疫が働くが,単球/macrophage(Mφ)は自然免疫の中心を担うとされている.そのMφは細菌感染に対してレジデントMφからΜ1MφとΜ2Mφの二種類の活性型に分化すると考えられている.M1Mφは活性酸素,抗菌ペプチドを産生し,殺菌する能力をもつが,M2Mφは殺菌能をもたず,IL-10, CCL17といったM1Mφの分化誘導を抑制するサイトカインを分泌する.そのためΜ1MφはΜ2Mφが優位な個体では分化誘導されない事が判明している.更に近年M2Mφは,M2aMφ,M2bMφ,M2cMφの3つのsubtypeがあると報告されている.アルコール性肝障害患者に認められる単球/Mφがどのようなsubtypeかは未だ不明であり,今回我々はアルコール性肝障害患者の末梢血単球/Mφの性質及び大腸菌に対する殺菌能について検討した.[方法]アルコール性肝障害患者10人の末梢血から比重遠沈法およびマグネットビーズを使用してCD14細胞を単離した.48時間培養しそのサイトカイン分泌能,及び大腸菌に対する貪食能,殺菌能を検討した.[結果]アルコール依存症患者から単離したCD14細胞はIL-10,CCL1を産生し,更に健常人と比較すると大腸菌に対する殺菌効果が低下していた.[結語]アルコール性肝障害患者の末梢血単球は,M2b単球であり,殺菌能が低下しており,その事がアルコール性肝障害患者における易感染性の原因の一つではないかと考えられた.
索引用語 アルコール, 単球