セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患,その他の肝炎)

タイトル 消P-39:

原発性胆汁性肝硬変を背景とした肝細胞癌の臨床的検討

演者 木村 成宏(済生会新潟第二病院・消化器内科)
共同演者 石川 達(済生会新潟第二病院・消化器内科), 窪田 智之(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本田 博樹(済生会新潟第二病院・消化器内科), 堀米 亮子(済生会新潟第二病院・消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院・消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本間 照(済生会新潟第二病院・消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院・消化器内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis:PBC)における肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)の合併はまれとされている.しかし近年は長期経過例が増加するにしたがい肝細胞癌の報告は増加傾向である.今回,当院で経験したPBC患者においてHCC合併例と非合併例とを比較し臨床的特徴につき検討を行った.
【方法】2004年4月から2013年2月までに当院において特定疾患を申請された症候性PBC症例及びPBCを背景にしたHCC発癌例を対象とし,臨床背景と生化学的所見をretrospectiveに検討した.全例で21例で,HCC合併例は6例(28.5%)である.
【成績】HCC発症例は平均年齢75.8歳,男:女は3:3であった.食道静脈瘤は5例に認め,輸血歴は1例にのみ認め,糖尿病合併は認めなかった.Child-Pughは平均8.2点であった. HCC合併例において,D/T比(P=0.0202),AST(P=0.0111),LDH(P=0.044)がいずれも高値で有意差を認めた.平均年齢,性別,輸血歴,糖尿病合併,血小板数,Child-Pugh分類に差は認めなかった.
【結論】PBCにおいて高齢や輸血歴,糖尿病合併,血小板低値,組織学的病期進展度,また門脈圧亢進所見(腹水,浮腫,静脈瘤)陽性がHCCのリスクと報告されている.今回の検討では上記の要因に有意差は認めないものの,HCC発症例には合致する傾向性を認めた.生化学的所見ではD/T比,AST,LDH,の高値がHCC群に有意差がみられた.症例数が少ないものの,HCCの可能性を念頭に置いた厳重な経過観察が必要と考えられた.
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 肝細胞癌