セッション情報 ワークショップ8(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患と胆汁酸

タイトル 消W8-8:

胆道疾患におけるMRCP撮像の新たな試み-デヒドロコール酸投与による描出能向上について-

演者 酒井 裕司(千葉大大学院・腫瘍内科学)
共同演者 露口 利夫(千葉大大学院・腫瘍内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・腫瘍内科学)
抄録 【目的】近年MRCPの発達により胆道疾患の診断能が飛躍的に向上している。胆道付加手術後など内視鏡的アプローチが困難な症例などはMRCPによる胆道の情報は治療方針を決定するうえで非常に重要であり、MRCPに求められる期待はより大きくなってきている。ただし微細病変は未だ直接造影に劣ると考えられている。膵臓領域に関してはセクレチン投与による描出能向上の報告が多数認められている。我々は以前より強力な水利胆剤としてデヒドロコール酸(DHCA)を投与しMRCPの胆道領域の描出能が向上するか検討を行ってきた。今回期間の延長とともに再度評価をし、どのような症例に行うのが良いか検討した。【方法】2003年1月~2012年2月の間にDHCA1000mgを静注し、投与前、投与後30分にSSTSE法Gyroscan Intera(1.5T Philips)にてMRCPを撮像した。Raw dataはworkstation(Virtual place advance AZE)を用い胆道領域の体積を計測した。【対象】男性16例、女性14例、計30例。年齢22~76歳(平均47.4歳)。症例は先天性胆道拡張症術後8例、胆管結石内視鏡治療後7例、健常人7例、肝内結石3例、術後胆道狭窄2例、PSC1例、胆嚢結石1例、胆摘後症候群1例であった。【結果】30症例中26症例(86.7%)で描出能が向上し胆道、結石、吻合部の明瞭化を認めた。DHCA投与により末梢胆管の描出が可能となり直接造影と比較しても遜色のない画像を得ることが可能であった。また胆道領域のvolumeの有意な増大(p<0.0001)を認めた。しかし、胆摘後でDHCA投与前から胆道領域に十分胆汁が満たされている2症例(6.7%)、胆汁性肝硬変をきたしている1症例(3.3%)、motion artifactにより鮮明な画像を得られなかった1症例(3.3%)は描出能の向上を認めなかった。【結論】内視鏡的アプローチが困難な術後症例でも明瞭な胆道像を得ることが可能でありMRCP撮影時DHCA投与により胆道領域の描出能が向上する可能性が示唆された。肝硬変症例では描出能は向上せずPharmacologic MRCPの可能性も示唆された。
索引用語 デヒドロコール酸, MRCP