セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患,その他の肝炎)

タイトル 消P-40:

自己免疫性胆管炎の一例

演者 柿本 年春(さいたま市立病院・消化器内科)
共同演者 辻 忠男(さいたま市立病院・消化器内科), 加藤 まゆみ(さいたま市立病院・消化器内科), 金田 浩幸(さいたま市立病院・消化器内科), 桂 英之(さいたま市立病院・消化器内科), 篠崎 博志(さいたま市立病院・消化器内科), 三浦 邦治(さいたま市立病院・消化器内科), 宮永 亮一(さいたま市立病院・消化器内科), 橋本 祐輔(さいたま市立病院・消化器内科), 赤塚 誠哉(さいたま市立病院・病理科)
抄録 【症例】60才代,男性【主訴】全身倦怠感,黄疸【現病歴】2年前から健診で肝障害を指摘されていたが放置.1週間前から黄疸に気づき,全身倦怠感も出現.近医を受診し,黄疸精査目的で当院紹介入院となった.【既往歴】特記すべきことなし【生活歴】飲酒:酎ハイ10杯/日×40年,喫煙:20本/日×40年【身体所見】体温36.5℃,脈拍90/分整,血圧130/85,眼球結膜黄染あり,眼瞼結膜貧血なし,心音,呼吸音異常なし,腹部:正中~右季肋部に肝を3横指触知,下肢浮腫なし【検査所見】WBC5060/μl,RBC508万/μl,PLT19.9万/μl,AST 706IU/l,ALT 1232IU/l,LDH 266IU/l,ALP 402IU/l,γGTP514 IU/l,T-Bil 12.4mg/dl,HBsAg(-),HCVAb(-),腹部US:脂肪肝,胆嚢ポリープ,脾腫【経過】アルコール性肝炎と考え,安静にて経過観察.肝障害と黄疸の軽減を認め,約2週間の入院後いったん退院.しかし,その後再び肝障害の悪化,黄疸の増強を認め,1ヶ月後に再入院.再入院時の血液検査:抗核抗体80倍,抗ミトコンドリアM2抗体5未満,IgG 1990mg/dl,IgM156mg/dl,IgE 1740IU/ml,IgG4 33mg/dl.自己免疫性肝炎を疑い,肝生検を施行.生検組織像では門脈域のリンパ球・形質細胞浸潤をみるが,同時に門脈域の小葉間胆管の破綻~消失の変化を認め,PBCを思わせる組織像であった.アルコール性肝炎の組織像は認めなかった.ANA陽性AMA陰性の自己免疫性胆管炎と診断.UDCA600mg/日の投与を開始したところ肝機能は改善した.【考察】本例は抗核抗体陽性,抗ミトコンドリア抗体陰性で生化学的には自己免疫性肝炎が疑われるが,組織学的にはPBCに合致する所見を認め,PBCの一亜型と考えられている自己免疫性胆管炎に相当すると考えられる.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 自己免疫性胆管炎, 原発性胆汁性肝硬変