セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患,その他の肝炎)

タイトル 消P-41:

ステロイド内服中に亜急性甲状腺炎を発症した自己免疫性肝炎の2例

演者 今井 径卓(柏崎総合医療センター)
共同演者 林 和直(柏崎総合医療センター), 佐藤 俊大(柏崎総合医療センター), 五十川 修(柏崎総合医療センター), 片桐 尚(柏崎総合医療センター)
抄録 症例1は63歳,女性.1993年に自己免疫性肝炎(以下AIH)と診断され,プレドニゾロン(PSL)5mg/日内服中であった.2012年8月,38℃台の発熱,咽頭痛を主訴に当科受診,右側甲状腺の腫脹と圧痛を認め,血液検査所見はAST 106 IU/l,ALT 136 IU/lと肝障害,FT3 8.40 ng/ml,FT4 3.26 ng/dl,TSH 0.0071 μIU/mlと甲状腺機能亢進症を認めた.甲状腺エコーにて圧痛部位に一致した低エコー領域を認め,亜急性甲状腺炎と診断,PSL 30mg/日内服に増量したところ,約1ヶ月で肝機能,甲状腺ホルモンともに正常値まで回復した.軽快後,PSL内服量は5mg/日まで徐々に減量したが,現在まで亜急性甲状腺炎の再燃は認めていない.症例2は43歳,女性.2005年にAIHと診断され,PSL 7.5mg/日内服中であった.2012年9月,呼吸苦,咽頭痛を主訴に救急外来を受診,咽頭炎の診断で抗生剤を処方された.その後も咽頭痛は治まらず,38℃台の発熱も出現したため,耳鼻咽喉科へ受診,血液検査はAST 49 IU/l,ALT 73 IU/lと肝障害,FT3 6.61 ng/ml,FT4 3.30 ng/dl,TSH 0.0124 μIU/mlと甲状腺機能亢進症を認めた.亜急性甲状腺炎と診断され,PSL 7.5mg/日内服のまま経過観察したところ,約1ヶ月で肝機能,甲状腺ホルモンともに改善した.現在まで亜急性甲状腺炎の再燃は認めていない.考察:AIHに亜急性甲状腺炎を併発した場合,誤って肝障害をAIHの再燃と診断してもPSL増量にて軽快はするが,その後のPSL維持量を不必要に増量してしまう可能性がある.従って,AIHの経過中に,発熱,咽頭痛,前頸部痛を伴う肝障害を認めた際は,亜急性甲状腺炎併発の可能性も考え,慎重に診断する必要がある.
索引用語 自己免疫性肝炎, 亜急性甲状腺炎