セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患,その他の肝炎)

タイトル 消P-42:

群馬県におけるE型肝炎の最近2年間の発生状況

演者 山崎 勇一(群馬大大学院・病態制御内科学)
共同演者 竹内 卓(群馬大大学院・病態制御内科学DELIMITER伊勢崎市民病院・内科), 上野 敬史(伊勢崎市民病院・内科), 畑中 健(伊勢崎市民病院・内科), 橋爪 洋明(群馬大大学院・病態制御内科学), 滝澤 大地(伊勢崎市民病院・内科), 長沼 篤(国立高崎総合医療センター・消化器内科), 堀口 昇男(群馬大大学院・病態制御内科学), 佐藤 賢(群馬大大学院・病態制御内科学), 柿崎 暁(群馬大大学院・病態制御内科学), 高山 尚(前橋赤十字病院・消化器内科), 高木 均(国立高崎総合医療センター・消化器内科), 岡本 宏明(自治医大・感染免疫学)
抄録 2011年HEV-IgA抗体検査が保険適応となり,E型肝炎の診断が容易に行えるようになった.今回,2011年以降診断された群馬県内における急性E型肝炎を調査したので報告する.【方法】当大学医学部附属病院と県内の肝疾患専門医療機関18施設において2011年から2年間で診断された急性E型肝炎を対象とし,県内における急性E型肝炎の臨床的特徴を2011年以前の症例と比較して検討を行った.【結果】2011年から2年間で7例の急性E型肝炎が確認された.内訳は男性4例,女性3例.平均年齢59.0±13.2歳,初診時ALT値は平均1406±1035IU/L,T-Bilは平均2.6土1.7mg/dl,7例全例でHEV-IgA抗体陽性であった.検査した4例全例でHEV-IgMおよびIgGが陽性であった.HEV-RNAは4例で検査され,全例で陽性,HEV genotypeは日本土着の3b型が2例,3e型が1例,スペイン豚由来の3fが1例であった.感染源としては海外渡航歴があり国外での感染疑いが1名(生肉摂取歴なし),生肉摂取歴(猪,豚)があるものが2名,感染源不明が4名であった.3例は発熱,倦怠感,食欲不振などで医療機関を受診したが,4例は他疾患で薬物療法中の定期検査で発見され,薬物性が疑われ,診断スコアは平均7.0土1.2点であった.6例は安静,補液などの保存的治療のみで軽快した.1例は非昏睡型急性肝不全に至り,薬物性や自己免疫性を疑い,ステロイドパルス療法を施行され,軽快した.【考察】2011年以前の症例と比較し,初診時ALT,T-Bil値が低く,薬物性が疑われる症例が多い傾向にあった.生肉摂取歴や海外渡航歴のある患者だけでなく,薬物性などが疑われる症例においても,急性E型肝炎の可能性を常に念頭におき,HEV-IgA抗体検査を行うことが重要である.
索引用語 E型肝炎, 薬物性