セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍1)

タイトル 消P-43:

非癌部遺伝子発現パターンからみた肝細胞癌サブクラスの検討

演者 土屋 雅人(山梨大・1外科)
共同演者 河野 寛(山梨大・1外科), 原 倫生(山梨大・1外科), 松田 政徳(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 【目的】HCV関連肝HCCの発癌には非癌部の因子も重要な役割を果たしていると考えられている.また癌部遺伝子発現によるHCCのサブクラスは将来のテーラーメイド医療への応用が期待できる.本研究はHCCサブクラスの非癌部の分子生物学的特性を解明すること,非癌部遺伝子発現パターンによるサブクラス分類の予測モデルを構築することを目的とする.【方法】過去の報告をもとにHCCの3つのサブクラスを定義した.Class1は癌部細胞増殖の異常に,Class2は癌部βカテニンの変異に関連する.当科で切除されたHCV関連HCCのマイクロアレイによる癌部遺伝子発現パターンから,対象症例のサブクラス分類を行った.対応する症例の非癌部での遺伝子発現パターンをSignificance Analysis of Microarrays (SAM)で比較検討し,各サブクラスに特異的に発現している遺伝子を同定した.Hypergeometric testにより,これらの遺伝子の分子生物学的特徴を検討した.さらにRandom Forestを用いた非癌部遺伝子発現による癌部サブクラスの予測モデル構築を行った.【成績】SAMによる各サブクラスの非癌部の比較ではclass1 で免疫,炎症に関連した遺伝子が,class2でアポトーシス関連の遺伝子が特異的に発現していた.特にMAGEH1低発現は強い関連を示した.Random Forestによる検討ではサブクラスの予測に必要な16の遺伝子が同定された.【結論】今回の検討により非癌部で既知のサブクラスごとに特異的に発現している遺伝子が特定された.サブクラスの分子生物学的特徴の検討により,癌部でのβカテニンの変異と非癌部でのアポトーシスシグナルとの関連が示唆された.また非癌部遺伝子発現による癌部サブクラスの予測モデル構築が可能であり,将来のテーラーメイド医療に応用できる可能性が示唆された.
索引用語 肝細胞癌, 遺伝子発現