セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍1)

タイトル 消P-44:

肝細胞癌術後の分岐鎖アミノ酸製剤投与は再発抑制となりえるか

演者 山本 伸(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科)
共同演者 片桐 聡(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 有泉 俊一(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 小寺 由人(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 高橋 豊(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 大森 亜紀子(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 山下 信吾(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 野口 岳春(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 米田 五大(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 江川 祐人(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科)
抄録 【目的】分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid; BCAA)製剤は肝硬変患者のアミノ酸インバランスの是正だけでなく,直接的に肝細胞,骨格筋細胞に働きかけてmTORC1の活性化によりアルブミン合成を促進する事が報告されている.肝硬変患者のインスリン抵抗性の改善効果,発癌抑制効果に関しての報告が増えており臨床および基礎研究も多い.一方で,BCAA製剤にはBCAA顆粒製剤と肝不全用栄養製剤があり効能が異なる. 今回肝細胞癌術後における 2種類のBCAA製剤の再発抑制効果を明らかにする.【方法】2004年~2009年,当科における初発肝細胞癌切除症例 339例中,術後6ヶ月以内に3ヶ月以上のBCAA顆粒製剤;リーバクト配合顆粒(3包/日)の継続投与可能であった症例群(n=41),術後6ヶ月以内に3ヶ月以上の肝不全栄養剤;アミノレバンEN配合散またはヘパンED配合内用剤(1包以上/日)の継続投与可能であった症例群(n=56)に対して,累積無再発生存率(DFS),累積生存率(OS)をレトロスペクティブに検討した.【結果】全解析対象症例における解析ではBCAA顆粒製剤群にDFSの有意な延長が観察された(p=0.05).患者背景別(HCVの有無,術前ICG15分値,術前Alb値,術後1年以内再発の除外等)に解析を行ったところ,術後1年以内の再発を除外した条件でBCAA顆粒製剤群に有意なDFSの延長が観察された(p=0.006).しかし,OSに関しては延長傾向みられたが有意差は得られなかった.今回,2010年,2011年に行った初発肝細胞癌切除症例を加え,更なる比較検討を行った.【結語】肝細胞癌術後のBCAA顆粒製剤投与は,再発抑制効果を有する可能性が示唆された.
索引用語 肝細胞癌, 分岐鎖アミノ酸製剤