セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍2)

タイトル 消P-48:

抗糖尿病薬Metforminよる胆管癌細胞増殖の抑制機構―MetforminのターゲットmicroRNAの同定

演者 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 藤森 崇之(香川大・消化器・神経内科), 野村 圭(香川大・消化器・神経内科), 有友 雄一(香川大・消化器・神経内科), 小野 昌弘(香川大・消化器・神経内科), 鎌田 英紀(香川大・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】近年,抗糖尿病薬であるMetforminが,前立腺癌,乳癌に対して抗癌作用を持つことが報告されている.今回,我々は,Metforminの胆管がんに対する抗癌作用を培養細胞株,実験モデル動物を用いて検討した.更にMetforminの抗癌作用に関連するmicroRNAの同定を網羅的に解析した.【方法】1.in vitroの系:胆管癌細胞株としHuCCT1, HuH28, TFK1を使用し,Metformin投与による細胞増殖をcell proliferation assayにより検討し,種々の細胞周期関連分子の発現動態はWestern blot法により検討した.また,Metformin投与により,誘導されうるmiRNAsを1000分子が搭載されたアレイを用いて網羅的に検討した.2.in vivoの系 :HuCCT1細胞株をヌードマウスに皮下移植し,Metforminが,in vivoにおいても増殖を抑制するかを同様に検討した.【結果】1.in vitroの系:Metfromin投与は非投与群と比較して,3種類全ての胆管癌細胞株で増殖は抑制されていた.Metformin投与群は非投与と比較し,CyclinD1, Cdk4, Cdk6の発現が抑制されRb,EGFR,IGF-1Rのリン酸化は低下していた.また,フローサイトメトリーにおける検討でも,Metformin投与は,胆管癌細胞株をG1停止に導いていた.Metformin投与により,miRNAsの発現動態が有意に変化し,特に癌抑制miRNAsであるhsa-let-7 familiyやhsa-mir-206の発現は極めて昂進していた.2.in vivoの系:Metformin投与は,胆管癌細胞の増殖を顕著に抑制し,さらに,細胞周期関連分子,miRNAsの動態変化もin vitroの系に類似していた.【結論】Metforminが胆管癌対し抗がん作用を持つことをin vitro, in vivoの系において証明した.さらに,そのMetforminの抗癌作用の一つに癌抑制miRNAsを誘導し,癌細胞の増殖を抑制することが示唆された.これらからMetforminは,安価で比較的副作用の少ない抗糖尿病薬であるため,今後,胆管癌治療において臨床応用の可能性が示唆された.
索引用語 胆管癌, メトフォルミン