セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓(腫瘍2)
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タイトル |
消P-49:進行肝癌に対するソラフェニブの後治療と予後の関係:多施設での検討
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演者 |
中野 聖士(久留米大・消化器内科) |
共同演者 |
黒松 亮子(久留米大・消化器内科), 鳥村 拓司(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】今回我々は,進行肝癌症例に対するソラフェニブ治療において,後治療がどのように予後に関わっているかについて検討した.【方法】2009年5月~2013年3月の期間に,当大学関連12施設においてソラフェニブ治療を受けた進行肝癌236例を対象とし,後治療の有無で症例を層別化し予後を比較検討した.【成績】平均年齢は69.8±9.4歳,男性188例・女性48例であった.RECISTガイドラインにより効果判定を行ったところ,PR 13例・SD 89例・PD 88例であった.全症例における生存期間の中央値(MST)は11.2ヶ月,無増悪生存期間の中央値は3.9ヶ月,1年生存率は46%であった.71例に後治療を施行し,内訳はTACE:36例・全身化学療法:23例・動注化学療法:20例・放射線治療:17例:TAI:15例・その他:5例であった(重複あり).後治療の有無によって,背景因子(年齢・性別・病因・腫瘍進行度・肝予備能・平均投与量・治療期間・治療効果)に差は認めなかった.後治療を施行した群としなかった群のMST・1年生存率は,それぞれ17.7ヶ月・60%,8.1ヶ月・39%で,後治療を施行した群において生存期間が有意に長かった(p=0.0025).肝内病変の程度により症例を層別化したところ,肝内にT 0-2の病変を有する78例の検討では後治療の有無で生存期間に差はみられなかったが,肝内にT 3-4の病変を有する123例の検討では後治療を施行した群において生存期間が有意に長かった(p=0.0004).また病勢制御の可否により症例を層別化したところ,PR+SD群での検討では後治療の有無で生存期間に差はみられなかったが,PD群での検討では後治療を施行した群において生存期間が有意に長かった(p<0.0001).【結論】進行肝癌症例に対するソラフェニブの治療成績は,後治療の有無と密接に関係していた.中でも,ソラフェニブ治療開始時に肝内病変が比較的進行していた群(T 3-4),またはソラフェニブ治療を行ったにもかかわらず病勢が進行した群(PD)において,後治療の有無が重要な予後因子であることがわかった. |
索引用語 |
ソラフェニブ, 後治療 |