セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍2)

タイトル 消P-52:

肝硬変・肝細胞癌加療中に大腸出血をきたした6症例の検討

演者 藤原 碧(大阪警察病院・臨床研修医指導センター)
共同演者 楠本 侑弘(大阪警察病院・内科), 上間 遼太郎(大阪警察病院・内科), 姫野 愛子(大阪警察病院・内科), 佐藤 克彦(大阪警察病院・内科), 占部 真貴子(大阪警察病院・内科), 妻野 恵理(大阪警察病院・内科), 須田 貴広(大阪警察病院・内科), 堀江 真以(大阪警察病院・内科), 大嶋 太郎(大阪警察病院・内科), 景山 宏之(大阪警察病院・内科DELIMITER大阪警察病院・ER・総合診療センター), 宇田 創(大阪警察病院・内科), 村田 真衣子(大阪警察病院・内科), 山口 真二郎(大阪警察病院・内科), 宮竹 英希(大阪警察病院・内科), 水谷 昌代(大阪警察病院・内科), 岡田 章良(大阪警察病院・内科), 河相 直樹(大阪警察病院・内科), 尾下 正秀(大阪警察病院・臨床研修医指導センターDELIMITER大阪警察病院・内科)
抄録 【目的】肝硬変・肝細胞癌の合併症として,食道静脈瘤や胃・十二指腸潰瘍などの消化管出血はよく遭遇する.その中に少なからず門脈圧亢進性胃腸症による出血が認められる.今回,肝硬変・肝細胞癌加療中に大腸出血をきたした症例を経験したので報告する.
【対象】2008~12年に大腸出血により,緊急入院となり内視鏡あるいはIVRによる止血処置を行った肝硬変・肝細胞癌患者6名(男/女=2/4,年齢59~77歳,成因:C型肝硬変5名,特発性門脈圧亢進症1名,C型肝硬変2名に肝細胞癌を合併).
【成績】(1)同期間に当院で消化管出血をきたし,緊急入院となり,内視鏡あるいはIVRによる止血治療を行った肝硬変・肝癌患者は81名であった.その原因は,静脈瘤65名(食道/胃/十二指腸/小腸/直腸=39/22/2/2/1,重複例1名を含む),胃潰瘍7名であり,大腸出血は6名で7.4%を占めた.(2)大腸出血の原因は,直腸静脈瘤1名,門脈圧亢進性腸症(portal hypertensive colopathy,以下PHC)によると考えられた拡張した血管からの出血が5名(出血部位は,上行結腸1名,横行結腸1名,全大腸にわたる出血が3名)であった.(3)治療は,直腸静脈瘤に対してPTOにて治療した以外はアルゴンプラズマ凝固法を行った.複数回の治療を要したのは3名で,そのうち,退院後,再出血きたした症例は2名であった.
【まとめ】肝硬変・肝細胞癌患者において緊急止血処置を要した消化管出血では,大腸病変からの出血の頻度は高くはない(約7%)が,PHCや直腸静脈瘤などの病変も念頭に入れ,診療にあたる必要があると思われた.症例提示と若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 portal hypertensive colopathy, 門脈圧亢進