セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍3)

タイトル 消P-54:

当院での進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与における休薬,中止症例についての検討

演者 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科)
共同演者 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 塩澤 寛子(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), さか本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科)
抄録 【目的】ソラフェニブは肝細胞癌における唯一の分子標的薬であるが,様々な有害事象により休薬,中止となる症例をしばしば経験する.休薬,中止例を検討することによりそれらを減らすことができれば投与期間の延長,さらには生存期間の延長につながる可能性がある.
【対象と方法】2010年3月から2013年2月までに当院で進行肝細胞癌に対しソラフェニブを投与した21症例のうち,休薬,中止症例についてその理由とその後の経過について検討を行った.
【結果】中止例は17例で,PDで中止が14例, 有害事象で中止が3例.有害事象で中止3例の内訳は,上部消化管出血(GAVE)2例,発熱1例.休薬例は8例で,休薬後再開7例,休薬中にPDと判定され中止1例であった.休薬後再開7例の内訳は,紅斑3例,手足症候群2例,血小板減少1例,肝機能障害1例であり,全例一旦休薬してから減量投与ないし減感作療法により再開投与継続が可能となった.休薬後中止の1例は血小板減少で休薬中PDが確認され後治療へと移行した.皮膚に関連する有害事象に関してはその予防と対処を皮膚科との緊密な連携を図ることにより休薬中止例を減らすことができた.とくにGrade3の紅斑出現後の再投与については一般には推奨されていないが,休薬した3例に対し減感作療法を行うことにより全例800mgでの再開継続が可能となった.早期中止例にはVp3-4症例が2例,Child-Pugh Bが1例含まれており,これらの症例は投与開始時にすでに高度進行例であり,前治療からの切り替え時期を含めソラフェニブ開始時期の判断に問題があったと考えられた.
【結論】ソラフェニブ休薬,中止症例の検討にて,有害事象のうち皮膚障害は皮膚科との緊密な連携が重要であり,特に紅斑に対する減感作療法は治療継続に有効な手段であると考えられた.またソラフェニブ導入時期に際しては肝機能や腫瘍進展度においてより早期の投与を考慮すべきと考えられた.
索引用語 ソラフェニブ, 進行肝細胞癌