セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍3)

タイトル 消P-55:

ミリプラチン投与による肝動脈化学塞栓術の長期治療成績

演者 福島 泰斗(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター), 川村 祐介(虎の門病院・肝臓センター), 原 祐(虎の門病院・肝臓センター), 小林 正宏(虎の門病院・肝臓センター), 斎藤 聡(虎の門病院・肝臓センター), 瀬崎 ひとみ(虎の門病院・肝臓センター), 保坂 哲也(虎の門病院・肝臓センター), 芥田 憲夫(虎の門病院・肝臓センター), 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター), 鈴木 義之(虎の門病院・肝臓センター), 荒瀬 康司(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】ミリプラチンは2010年に肝動注用抗癌剤として保険収載され3年経過しているが,現在までにミリプラチンによる肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓術(TACE)の長期治療成績は十分には報告されていない.当院ではミリプラチンによるTACEを多数の症例で施行しており,現在までの長期治療成績を集計したので報告する.【対象,方法】対象は2010年1月から2012年11月に,当院にて肝細胞癌に対してミリプラチンによるTACEを施行し,治療1から3カ月後に評価可能であった215例である.症例の年齢中央値:73歳,男性/女性:134/81,腫瘍径中央値:20mm,腫瘍個数:3個,StageI/II/III/IV:55/85/73/2,Child-Pugh分類A/B:160/55であった.TACE施行時のミリプラチン投与量中央値は80mg,リピオドール投与量中央値は4mlであった.初回TACE治療例は63例,再治療例は152例,常温投与法は158例,加温投与法は57例であった.【結果】(1)ミリプラチン投与例の治療効果は,治療1から3カ月後の評価ではCR/PR/SD/PD:60/48/70/37であり,奏効率は50%であった.初回TACE治療例に限定するとCR/PR/SD/PD:23/15/20/5であり,奏効率は60%であった.(2)ミリプラチンの投与法別に治療効果を検討した.常温投与法はCR/PR/SD/PD:36/34/58/30であり,奏効率は44%であったのに対して,加温投与法はCR/PR/SD/PD:24/14/12/7であり,奏効率は68%と有意に差を認めた(p=0.003).(3)ミリプラチン投与後の累積1年生存率は78.5%であった.投与法別に検討すると,常温投与法はTACE再治療例の比率が多く,加温投与法はTACE初回治療例の比率が多いという背景のバイアスがあったものの,常温投与法は1年73.4%であったのに対して,加温投与法は1年96.2%であり,有意に差を認めた(p=0.0008)【結語】ミリプラチンによるTACEの加温投与法は常温投与法と比較して有意に奏効率が高く,累積1年生存率でも優れていた.
索引用語 肝細胞癌, 肝動脈化学塞栓術