セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍3)

タイトル 消P-56:

シスプラチンの肝癌細胞抑制効果に関する分子機構

演者 龍田 美和(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 谷 丈二(香川大・消化器・神経内科), 豊田 由花(香川大・消化器・神経内科), 桂 明子(香川大・消化器・神経内科), 坂本 鉄平(香川大・消化器・神経内科), 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大・消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】シスプラチンは肝細胞癌治療において広く使用されているが,その分子機構は明らかでない.今回シスプラチンの肝癌細胞抑制機構について検討した.【方法】1.in vitroの系において各種肝癌細胞株(HLE,HLF,HuH7,Li7,Hep3B,HepG2)にシスプラチンを投与(0,1,3,10μg/ml)し,癌細胞増殖をcell proliferation assayを用いて検討した.2.シスプラチンによる肝癌細胞内におけるレセプター型チロシンキナーゼ群(42分子)と血管新生分子群(20分子)の関与をメンブレンアレイを用いて網羅的に解析した.3.シスプラチン投与による肝癌細胞株のアポトーシスの影響を切断されたCK18を捕捉するELISA法によって検討した.4.シスプラチンによる肝癌細胞増殖抑制効果に関連するmicroRNAを900分子が搭載されたチップを用いて網羅的に解析した.【成績】1.シスプラチンは濃度依存的にすべての肝癌細胞株の増殖を抑制した.2.肝癌細胞株において,シスプラチンはレセプター型チロシンキナーゼ群のうちInsulin Rの活性を低下させ,血管新生分子群のうちIL-8,GROを肝癌細胞内で誘導した.3.シスプラチン投与により有意に肝癌細胞のアポトーシスを誘導した.4.シスプラチン投与により肝癌細胞に対し多くのmicroRNAの変動を起こし,シスプラチン投与群と非投与群において異なるプロファイルを形成していた.特にシスプラチン投与によりmiR-23b,miR-26a,miR-107,miR-15b,miR-191,miR-4284が肝癌細胞内で有意に増加していた.【考案・結語】シスプラチンが肝癌細胞株で,血管新生分子,チロシンキナーゼ分子を変動させることにより増殖抑制効果があることをin vitroの系で証明した.また,シスプラチンは肝癌細胞のアポトーシスを誘導することによっても癌細胞を抑制すると考えられた.さらにシスプラチンの肝癌細胞の増殖抑制に関連するmiR-23b,miR-26a,miR-107,miR-15b,miR-191,miR-4284を同定した.
索引用語 シスプラチン, microRNA