セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(腫瘍4) |
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タイトル | 消P-58:癌幹細胞可視化システムに基づいた腹膜播種メカニズムの解析 |
演者 | 田中 真二(東京医歯大・肝胆膵・総合外科) |
共同演者 | 勝田 絵里子(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 村松 俊輔(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 茂櫛 薫(東京医歯大・オミクス医療情報学), R. Adikrisna(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 松村 聡(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 伴 大輔(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 落合 高徳(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 入江 工(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 工藤 篤(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 中村 典明(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 中山 恒(東京医歯大難治疾患研究所), 田中 博(東京医歯大・オミクス医療情報学), 山岡 昇司(東京医歯大・ウイルス制御学), 有井 滋樹(東京医歯大・肝胆膵・総合外科) |
抄録 | 【目的】癌幹細胞は自己複製能と多分化能 (非対称性分裂)を有し,癌の多様性の根源となるだけでなく,治療抵抗性や転移,再発への関与が示唆されている.腹膜播種は消化器癌の予後を左右する重要な因子の1つであるが,癌幹細胞の作用については明らかとされていない.未分化幹細胞は一般に蛋白代謝が低下しているが,我々はその幹細胞特性を蛍光可視化し 癌幹細胞をモニタリングするシステムを構築して,分子生物学的解析によって腹膜播種メカニズムの解明を目指している(Gastroenterology 2012; Hepatology , in press).【方法】蛋白代謝の低下によって蛍光蛋白を発現するベクターを構築し,ヒト肝癌・膵癌細胞株に導入した.FACSソーティングによって,蛍光細胞を単離し,その細胞生物学的特性を解析した.さらに遺伝子ネットワーク解析に基づき,細胞浸潤と腹膜播種の特徴を検証した.【成績】幹細胞性可視化によって,癌幹細胞は全体の数‰に存在し,非対称性分裂によって非癌幹細胞を発生すること,発生した非癌幹細胞は早急に対称性分裂すること明瞭に示された.低酸素条件下では癌幹細胞の対称性分裂が活発となり,長期培養により約30倍の上昇を認めた.癌幹細胞では細胞内活性酸素種(ROS)濃度は低く維持されており,ROSlow癌幹細胞分画が腹膜播種転移を示すことを見出した.さらに,網羅的遺伝子発現データに基づくGSEAおよびパスウェイ解析の結果,癌幹細胞分画ではケモカイン・ネットワークが亢進していることが明らかとなった.癌幹細胞分画はマクロファージ遊走能が有意に高く,腹膜播種巣でマクロファージの集簇を認めた.【結論】癌細胞には幹細胞特性を呈する癌幹細胞分画が内在することが明確となり,マクロファージ集簇を促して腹膜播種へ関与する可能性が示唆された. |
索引用語 | 癌幹細胞, マクロファージ |