セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍4)

タイトル 消P-62:

ソラフェニブの手足症候群に対するトコフェロールの臨床効果

演者 和田 幸之(国立九州医療センター・肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 立石 昌樹(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 龍 知記(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 才津 秀樹(国立九州医療センター・肝胆膵外科DELIMITER国立九州医療センター・臨床研究センター)
抄録 【背景】手足症候群は,ソラフェニブ投与早期に起こる重要な有害事象の一つで,半数以上に発症し,ソラフェニブの休薬・減量の原因となることが多い.予防策として,手足の保湿や投与前の角質処理などが推奨されているが,予防効果は十分ではない.そこで,今回,われわれはソラフェニブによる手足症候群に対し,トコフェノール(ビタミンE)内服による臨床効果を検討した.【対象と方法】当科では,2009年6月から2012年10月までにソラフェニブを導入した進行肝細胞癌96例中,48例(50%)に手足症候群の有害事象を認めた.手足症候群を発症した後に,ステロイド外用,NSAIDの併用なしでトコフェロールを投与した7例を対象とし,臨床背景および効果について検討した.【結果】7例の内訳は,男5例,女2例,Child-Pugh A 5例,B 1例,C 1例であった.手足症候群発症時のソラフェニブ投与量は400mg 5人,200mg 2人で,トコフェロール開始時の手足症候群はgrade 2(疼痛を伴う発赤,軽度の角質肥厚など)4人,grade 3(強い疼痛を伴う高度の角質肥厚硬化,水疱形成)3人であった.grade 2は4例全例が1週間前後で疼痛消失し,さらに皮膚症状の改善も見られた.grade 3では皮膚症状の改善は認めなかったが,3例中2例に疼痛の軽減を認めた.7人中5人でソラフェニブ減量・休薬を要さずに投与継続可能であった. 【結語】臨床上注意を要するgrade 2までの手足症候群に対して,トコフェロールは有効と思われる.しかし,grade 3の高度角質肥厚への効果は期待しがたい.現在,ソラフェニブの手足症候群に対してはステロイド外用,NSAID等が使用されているが,トコフェロールは新たな治療選択肢となり得る可能性がある.
索引用語 肝細胞癌, 化学療法