セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍5)

タイトル 消P-63:

当施設の肝癌破裂症例の臨床的特徴

演者 林田 まり子(駿河台日本大病院・内科)
共同演者 中河原 浩史(駿河台日本大病院・内科), 三浦 隆生(駿河台日本大病院・内科), 塩澤 克彦(駿河台日本大病院・内科), 阿部 真久(駿河台日本大病院・内科), 松本 直樹(駿河台日本大病院・内科), 大城 周(駿河台日本大病院・内科), 山本 敏樹(駿河台日本大病院・内科), 小川 眞広(駿河台日本大病院・内科), 田中 直英(駿河台日本大病院・内科), 森山 光彦(駿河台日本大病院・内科)
抄録 【目的】肝癌破裂は肝細胞癌の主要な死因のひとつで,急激に発症し予後不良とされている.肝癌破裂ではウイルス性肝疾患を基礎疾患にもち,腎機能障害を併発している症例もあることから,当施設では診断に主に単純CT,造影超音波,腹腔穿刺を用い,治療の第一選択を肝動脈塞栓術としている.今回我々は当施設の肝癌破裂症例の臨床的特徴について検討を行った.【方法】対象は2002年4月から2013年3月までに肝癌破裂と診断された15症例とした.対象症例の背景因子,画像所見,治療,予後などについて検討した.【成績】年齢は平均70.3歳(56~89歳)で,男女比は11 : 4であった.背景肝はB/C/NBNC(非B非C) 2/10/3で,Child-Pugh A/B/C/不明 4/4/6/1であった.平均腫瘍径は7cmで,治療歴が9例にあり,初発が6例であった.造影超音波では4例で造影剤の腹腔内漏出がみられ,腹腔穿刺を行った11例すべて血性腹水であった.血管造影は保存的加療を希望した2例を除く13例に行い,12例に肝動脈塞栓術を施行し,1例は肝切除術を施行した.1例は二期的に肝切除術を施行した.肝切除術を施行した2例は長期生存中であるが,肝動脈塞栓術単独治療症例の平均生存期間は33日で,肝不全死が主な死因であった.【結論】肝癌破裂は予後不良であるが,肝切除術を施行できれば長期生存も望める.しかし,治療歴の多い症例や肝予備能が不良な症例も多く肝切除術まで到達できる症例は少なかった.また,本検討の初発例のうち3症例はNBNCで平均腫瘍径は10cmと大きいことから,非ウイルス症例では検診などでの早期の拾い上げが必要であると思われた.診断及び治療では,肝動脈塞栓術を第一選択としているため,腎機能障害を考慮し,造影CTは行わず造影超音波を行っている.造影超音波はリアルタイムに造影剤の腹腔内漏出を確認でき,空間分解能も高いことから肝癌破裂の診断に有用であると考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 破裂