セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍5)

タイトル 消P-66:

脈管浸潤を伴う進行肝細胞癌に対する肝動脈動注併用下放射線療法について

演者 朝井 章(大阪医大・2内科DELIMITER大阪医大附属病院・中央検査部)
共同演者 大濱 日出子(大阪医大・2内科), 土本 雄亮(大阪医大・2内科), 福西 新弥(大阪医大・2内科), 津田 泰宏(大阪医大・2内科), 山本 和宏(大阪医大・放射線科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【目的】原発性肝細胞癌は,様々な集学的治療が有るにもかかわらず難治性である.特に脈管侵襲を伴うStage IVa期の肝細胞癌は,肝不全に陥ることもあるため,非常に予後が不良であるがコンセンサスを得られている治療法はない.今回我々はそのような患者に対する肝動脈動注併用下放射線療法(TAI-RT)の効果を検討した.【方法】2002年から2013までに当院消化器内科にて治療した肝細胞癌患者532名のうちTAI-RTを行ったStage IVa期の患者11名を対象とし,retrospectiveに検討を行った.TAI-RTはアイエーコール(70 mg/m2)にて肝動脈化学動注療法(TAI)を施行した後,脈管浸潤部位に対し,放射線療法(平均50Gy)を施行した.さらにその後約2ヶ月ごとにアイエーコールにてTAIを行った.又初診時にStage IVa期と診断されたTAI-RTを施行していない患者22名をControl群とした.【成績】TAI-RT群の平均年齢は71歳,採血ではAlb 3.3±0.5 g/dL,Tbil 1.0±0.5 mg/dL,Plt 128±45 x 103 cells/μL,PT 95±16%であり,Control群といずれも有意差を認めなかった.平均生存日数は,TAI-RT群では377±238日であり,Control群では234±238日と優位にTAI-RT群で延長を認め,Overall survivalも有意に改善していた.【結論】今回我々が行ったTAI-RTは,血流支配に乗っ取った抗癌剤による化学療法と肝機能低下を伴わないような脈管浸潤部位のみを狙った放射線療法の併用療法であり,TAIの腫瘍壊死効果の補助を放射線療法にて補い,また放射線単独の広範囲照射による肝機能低下を予防する事でStage IVa期肝細胞癌患者の生存期間を延ばすことに寄与していると考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 放射線療法