セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍6)

タイトル 消P-70:

切除不能肝細胞癌に対するTACEとTOCEの比較検討

演者 兼藤 努(新潟大大学院・消化器内科学)
共同演者 須田 剛士(新潟大大学院・消化器内科学), 吉川 成一(新潟大大学院・消化器内科学), 上村 顕也(新潟大大学院・消化器内科学), 田村 康(新潟大大学院・消化器内科学), 高村 昌昭(新潟大大学院・消化器内科学), 五十嵐 正人(新潟大大学院・消化器内科学), 川合 弘一(新潟大大学院・消化器内科学), 山際 訓(新潟大大学院・消化器内科学), 野本 実(新潟大大学院・消化器内科学), 青柳 豊(新潟大大学院・消化器内科学), 和栗 暢生(新潟市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】切除不能肝細胞癌に対する治療として, TACEとTOCEのいずれかが全生存期間をより有意に延長させるか否かを比較検討した.【方法】当院と関連病院において1983年から2012年の間に肝細胞癌と診断され,TACE,TOCE,HAICを初期治療として施行された426人の予後を無治療群46人とともに比較検討した.1998年から2012年に治療された166例の多発肝細胞癌症例に対しては詳細な画像検討を実施した.【成績】治療を受けたいずれの群でも無治療群に対して全生存期間の延長が認められた.TACEを施行された群(TACE群)とTOCEを施行された群(TOCE群)の間には背景因子として,年齢,性別,Child-Pugh,ICG K値,腫瘍stageに有意差を認めなかった.生存期間中央値は各々660日,576日であり,統計学的優位差を認めなかった.単発腫瘍群が全症例に閉める割合はTACE群28.1%,TOCE群27.1%であり,年齢因子でTACE群が優位に高齢であったが,性別,Child-Pugh,ICG K値,腫瘍stage,AFP値,腫瘍経に優位差を認めなかった.生存期間中央値はTACE群1169日,TOCE群で1006日であり,TACE群で有意に生存期間の延長が見られた.画像解析が可能であった多発腫瘍群においては年齢,性差,Child-Pugh,ICG K値,腫瘍stage, AFP値,腫瘍個数,腫瘍の分布(一葉にとどまるかもしくは両葉におよぶか)に有意差を認めず,生存期間中央値はTACE群528日,TOCE群で553日であり有意差を認めなかった.【結論】TACEは単発腫瘍の場合でのみ全生存期間でTOCEに対して有意に勝っていた.単発腫瘍の場合ではTACEを施行するべきであるが,多発進行肝細胞癌の場合ではTOCEが容認される治療法であることが示唆された.
索引用語 TACE, TOCE