セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍6)

タイトル 消P-71:

腫瘍マーカー3因子陽性肝細胞癌における治療モダリティーの予後への影響

演者 上野 昌樹(和歌山県立医大・2外科)
共同演者 谷 眞至(和歌山県立医大・2外科), 川井 学(和歌山県立医大・2外科), 速水 晋也(和歌山県立医大・2外科), 廣野 誠子(和歌山県立医大・2外科), 岡田 健一(和歌山県立医大・2外科), 重河 嘉靖(和歌山県立医大・2外科), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科), 玉井 秀幸(和歌山県立医大・2内科), 新垣 直樹(和歌山県立医大・2内科), 森 良幸(和歌山県立医大・2内科)
抄録 【はじめに】当科では,AFP・AFP-L3分画・PIVKA-IIの腫瘍マーカー3因子陽性の肝細胞癌切除症例は,組織学的に浸潤傾向が強く,予後不良であることを報告した(Ann Surg 2011).今回,腫瘍マーカー3因子陽性の肝細胞癌症例において,治療モダリティーの違いが生命予後に影響するのかretrospectiveに検討した.【対象】2001年~2010年の間に,腫瘍マーカー3因子陽性(正常上限をカットオフ値とした)・Child Pugh7点以下・ICGR1540%未満・ミラノ基準内を満たす初発肝細胞癌に対し,熱凝固治療,或いは切除治療を行った症例を対象とした(熱凝固(RFA)群;n=27.切除(OP)群;n=33).各治療群における腫瘍状況・背景肝機能・無再発生存期間・再発形式・生命予後を比較した.【結果】治療時の主腫瘍径(cm;median)は,2.5(RFA群),3.5(OP群)であった(P<0.01).個数(1/2/3個)は,RFA群で18/4/0,OP群で28/4/1であった(P=0.6).Child Pugh分類(A/B)は,RFA群で21/6,OP群で32/1であった(P=0.03).ICGR15(%;median)は,23 (RFA群),12 (OP群)であった(P<0.01).RFA群の23例,OP群の16例に再発を認め,無再発生存期間中央値は各々,361日,862日であった(P=0.02).初回再発形式(重複あり)は,局所・区域内/区域外/肝外・脈管浸潤再発と区分すると, 17/9/7例(RFA群),5/12/1例(OP群)であった. 5年生存率は66.4%(RFA群),70.1%(OP群)であった(P=0.3).【まとめ】今回の解析集団では,腫瘍状況・背景肝機能に差を認めるものの, RFA群が有意に早期の再発を来した.RFA群では,局所・区域内再発が多く見られ,局所根治性に欠けていた.生存曲線に差を認めなかったが,予後不良となる肝外・脈管浸潤再発をRFA群に多く認めたので,サンプルサイズの問題と考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 腫瘍マーカー