セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍7)

タイトル 消P-73:

インターフェロン療法によるSVR後のC型肝炎ウイルス関連肝細胞癌における臨床的特徴と予後の検討:メタボリック症候群の関連について

演者 宮武 宏和(広島市民病院・内科)
共同演者 小林 功幸(広島市民病院・内科), 岩堂 昭太(広島市民病院・内科), 植松 周二(広島市民病院・内科), 岡本 良一(広島市民病院・内科), 水野 元夫(広島市民病院・内科), 荒木 康之(広島市民病院・内科)
抄録 【背景・目的】HCC発症前インターフェロン(IFN)療法はC型肝炎ウイルス関連肝細胞癌(C型HCC)に対する根治療法後の肝内再発を抑制し予後の改善に寄与することが知られている.我々は発癌前IFN療法でのSVRはHCV関連HCC患者の独立予後因子及び第2回再発の抑制因子であることを過去に報告しているが(Dig Dis Sci. 2012),発癌前IFN療法でSVRとなったC型HCC患者の発癌・予後に関与する因子については明らかでないため,今回メタボリック症候群(MetS)の関与も含め検討を行った.【対象・方法】1993-2012年に当院において診断・初回治療が行われたHCC1375例(C型HCC932例)のうち,発癌前にIFN療法を施行した121例(持続的ウイルス学的著効(SVR)群16例, non-SVR群105例).IFN療法効果別に発癌時の背景因子を比較しC型HCCの累積生存率及び初回再発率について検討した.また予後及び再発に寄与する因子についてcox比例ハザードモデルを用いて検討した.なおMetS関連因子としてBMI,飲酒量及び糖尿病・高血圧・高脂血症罹患率とこれらに関連した血液生化学因子について解析を行った.【結果】発癌前IFN療法例でのHCC初発時の背景因子の比較では,SVR群で飲酒量(p=0.005),高血圧罹患率(p=0.001)が有意に高値であり,BMI(p=0.071),HBc抗体陽性率(p=0.083)が高い傾向にあった.累積生存率はHCC初発時根治例においてSVR群で予後が良好な傾向を認めたが(p=0.110),累積初回再発率については差を認めなかった.発癌前IFN療法を施行したHCCでの予後因子は,単変量解析にて腫瘍径,腫瘍多発,脈管侵襲有,AFP高値,ALTが有意な因子でありMetS関連因子には有意な因子は無かった.【結論】C型肝炎ウイルス関連肝細胞癌での発癌前IFN療法ではSVRで予後の延長をもたらす傾向を認めた.発癌前IFN療法におけるSVR例ではnon-SVR群と比較し,HCC発癌時の背景にメタボリック症候群関連因子が存在している可能性が考えられた.
索引用語 肝細胞癌, インターフェロン