セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍7)

タイトル 消P-74:

当院における高度脈管侵襲を有する肝細胞癌に対する放射線治療の現状

演者 上ノ山 直人(大手前病院・消化器内科)
共同演者 北山 聡明(大手前病院・放射線科), 坂谷 彰彦(大手前病院・消化器内科), 笹井 保孝(大手前病院・消化器内科), 西田 直浩(大手前病院・消化器内科), 阪本 めぐみ(大手前病院・消化器内科), 松田 高明(大手前病院・消化器内科), 木下 和郎(大手前病院・消化器内科), 土井 喜宣(大手前病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対する治療には,外科治療(切除および移植)・局所療法・肝動脈カテーテル治療・分子標的薬が選択肢となる.しかし,実臨床においては様々な理由から放射線療法が選択されることがあるが,現在のアルゴリズムにおいてその適応については記載されていない.今回,当院における高度脈管侵襲を有する肝細胞癌に対する放射線治療の現状について検討したため報告する.【対象・方法】2008年5月~2013年3月の期間で,当院にて放射線治療を施行した高度脈管侵襲を有する肝細胞癌患者14名を対象とした.男性11例,女性3例,年齢は62~86歳であった.背景はHCV/HBV/NBNC=7/2/5例,Child-Pugh A/B/C=11/2/1例,門脈腫瘍栓/静脈‐下大静脈腫瘍栓=10/4例であった.総線量は39~50Gyであった.併用療法は全例で動注化学療法を行い,アイエーコールを投与した.治療効果判定は門脈および静脈腫瘍栓に対する直接効果,偶発症の有無および生存期間について検討した.【成績】放射線照射は全14例で完遂した.腫瘍栓に対する直接効果はTE4/TE3/TE2/TE1=0/3/7/3例,判定不能1例であった.また治療の合併症として十二指腸潰瘍を1例に認めた.放射線治療開始後の生存期間は,門脈腫瘍栓症例が28~628日(1例生存中),静脈‐下大静脈腫瘍栓症例が87~500日(3例生存中)であった.【結語】放射線治療は高度脈管侵襲を伴う肝細胞癌に対し,比較的安全で局所制御効果が期待できる治療法であった.標準療法のみで治療困難な症例に対する集学的治療の選択肢として,放射線治療の組み合わせは有効な可能性があり,更なる症例蓄積が必要と考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 脈管侵襲