セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍7)

タイトル 消P-75:

血清endocan,VEGFによる肝癌の予後予測―血清AFP,AFP L3分画,DCPとの比較

演者 利國 信行(金沢医大・消化器内科)
共同演者 尾崎 一晶(金沢医大・肝胆膵内科), 白枝 久和(金沢医大・消化器内科), 林 伸彦(金沢医大・肝胆膵内科), 有沢 富康(金沢医大・消化器内科), 堤 幹宏(金沢医大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】肝癌(HCC)の診療において,癌の進行度,肝予備能が同等であっても,予後に差があることをしばしば経験する.予後予測の簡便な指標の確立は極めて重要な課題と考えられる.我々は腫瘍血管新生にあずかるendocan,VEGFに着目して予後との関連を調べ,従来の腫瘍マーカーと比較した.【方法】(1)正常肝(8例),慢性肝疾患(7例),初発HCC(65例)の血清endocan,VEGF値.値は中央値で記述.VEGF値はPlt数と相関するため,Loge(VEGF/Plt)値を用いた.(2)初発HCC(65例)の生命予後予測における血清endocan,VEGF値の有用性.AFP,AFP L3分画,DCPとの比較.年齢,性,etiology,stage,Child-Pugh grade,治療法,各血清項目を変数とした.生存曲線はKaplan-Meier法,Log-rank検定,多変量解析はCox比例ハザードモデルを用いた.(3)RFAまたはTACEを施行された初発HCC(47例)の再発予測における血清endocan,VEGF値の有用性.【結果】(1)Endocan: 正常肝 1.15 ng/ml,慢性肝疾患 1.98 ng/ml,HCC 3.67 ng/ml (正常肝 vs. HCC, p = 0.005).VEGF: 正常肝 2.21,慢性肝疾患 2.78,HCC 2.60 (有意差なし).(2)血清endocan 2.3 ng/ml以上:Log-rank検定 p = 0.056; ハザード比 1.94, p = 0.009.一方,血清VEGF値からはcutoff pointを見い出せなかった.AFP 100 ng/ml以上: Log-rank検定 p = 0.001; ハザード比 1.36, p = 0.138.L3 10%以上: Log-rank検定 p = 0.041; ハザード比 1.25, p = 0.310.DCP 40 mAU/ml以上: Log-rank検定 p = 0.049; ハザード比 1.16, p = 0.559.(3) 血清endocan,VEGF値からはcutoff pointを見い出せなかった.AFP 100 ng/ml以上: Log-rank検定 p = 0.012; ハザード比 1.14, p = 0.587.L3 7%以上: Log-rank検定 p = 0.007; ハザード比 1.74, p = 0.012.DCP 40 mAU/ml以上: Log-rank検定 p = 0.040; ハザード比 1.17, p = 0.442.【結語】HCCの診療において,血清endocan値は予後予測の新たな指標になりうる.
索引用語 肝癌, 予後