セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症1)

タイトル 消P-79:

当院における原発性肝疾患以外の原因による食道胃静脈瘤症例の検討

演者 岡野 宏(鈴鹿中央総合病院・消化器内科)
共同演者 新田 真吾(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 松崎 晋平(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 佐瀬 友博(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 齋藤 知規(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 向 克巳(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 西村 晃(鈴鹿中央総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】食道胃静脈瘤は,主に肝硬変を代表とする原発性肝疾患に伴う門脈圧亢進の結果として発生するが,これら以外の原因から発生することもある.今回,当院で経験した,原発性肝疾患以外の疾患から食道胃静脈瘤を発生したと考えられる症例について検討した.【対象】2004年1月~2013 年1月までの109か月間に当院で経験した肝疾患に伴う食道胃静脈瘤症例群(慢性肝疾患+特発性門脈圧亢進症:以下A群)と基礎疾患が肝疾患ではない食道胃静脈瘤症例群(上記のA群以外:以下B群)とを対象とし,治療導入時の状況と治療後の経過について比較検討した.【結果】上記の期間中A群は191例,B群は7例の発生を認め,B群は静脈瘤症例全体の3.5%であった.B群7例は悪性腫瘍5例(肝門部胆管癌術後再発,直腸癌肝転移,胆管癌肝転移,膵癌肝転移及び大腸癌肝転移)と骨髄線維症1例,再生不良性貧血1例であった.A群とB群で男女差及び年齢差はなかった.静脈瘤の待機的治療と緊急治療はA群101例:2例,B群90例:5例で,待機的治療数と緊急治療数比で有意差はなかった.しかし生存退院と死亡退院ではA群176例:15例,B群4例:3例で,P=0.01とB群で死亡退院が多い傾向がみられた.また待機的治療では死亡退院はA群の1例のみであったが,緊急治療ではA群B群の死亡退院は14例:3例で,P=0.03とB群で死亡退院が多い傾向であった.B群で生存退院した4例はその後2例が死亡,1例が療養型病院へ転院,1例が外来通院中であるが,全例フォロー期間中に静脈瘤破裂を含む消化管出血は認めなかった.【結論】肝疾患以外の静脈瘤症例は,多くが各疾患の末期状態で,特に緊急治療例で死亡退院に至る傾向がみられた.一方事前に治療要の静脈瘤に待機的治療を行えた例では予後の改善傾向がみられた.静脈瘤症例内では少数例であるが,肝疾患以外の原因に伴う静脈瘤に予防的治療を行うことも検討する必要があると思われる.
索引用語 静脈瘤, 治療