セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症1)

タイトル 消P-83:

肝硬変に合併した難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注療法(CART)の現状

演者 関 志帆子(大森赤十字病院・消化器内科)
共同演者 芦苅 圭一(大森赤十字病院・消化器内科), 河野 直哉(大森赤十字病院・消化器内科), 天野 由紀(大森赤十字病院・消化器内科), 高橋 昭裕(大森赤十字病院・消化器内科), 千葉 秀幸(大森赤十字病院・消化器内科), 井田 智則(大森赤十字病院・消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院・消化器内科), 後藤 亨(大森赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】進行した肝硬変に合併する難治性腹水に除水を行うことは,症状の軽減に役立つが,蛋白の喪失により全身状態が増悪することも多い.腹水濾過濃縮再静注療法(CART)は腹水中の自己蛋白質を再静注するため,血漿蛋白質低下の軽減により有効性が期待される.今回,当科における難治性肝性腹水に対するCARTの有用性と安全性に関して検討した.【方法】2009年4月から2013 年3月までに当科で,減塩と利尿剤による腹水コントロールが不良な難治性肝性腹水に対し,CARTを導入した肝硬変11例(男:女6:5,63.8±10.7歳)について,CARTの短期効果,長期予後,合併症を検討した.短期効果は初回から2回目施行日までの日数が2週間以内を初回CART効果不良,2週間以上を効果良好とした.長期予後は,腹水の消失もしくは最終的に利尿剤内服のみでコントロール可能となった例を改善,2週に1回のCARTでコントロール可能であった例を維持,2週以内にCARTを要した例を不良とした.【成績】症例の内訳はB型1例,C型4例,アルコール性4例,NASH疑い1例,原因不明1例.初回CARTの効果良好例は5例,効果不良例は6例で,背景,除水量,回収蛋白量,肝機能,腎機能について両群の比較検討を行ったところ有意差は認めなかったが,前alb値が良好例で高い傾向であった(良好例2.5±0.4g/dl, 不良例2.1±0.3g/dl p=0.06).また,長期予後は初期効果良好例で改善2例,維持1例,不良2例,初期効果不良例で改善1例,維持3例,不良2例と関連は認めなかった.合併症は再静注に伴う発熱のみで,重篤なものはなかった.【結論】難治性腹水に対するCARTは,安全かつ簡便に施行し得た.alb値が低下する前にCARTを導入した方が初期効果良好であることが示唆されたが,長期効果との関連は今後の検討が必要と考えられた.
索引用語 腹水濾過濃縮再静注療法, 難治性腹水