セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症2)

タイトル 消P-84:

非代償期肝硬変に対する肝外シャント塞栓術後肝機能の検討

演者 伊藤 大策(和歌山県立医大・2内科)
共同演者 玉井 秀幸(和歌山県立医大・2内科), 森 良幸(和歌山県立医大・2内科), 新垣 直樹(和歌山県立医大・2内科), 森畠 康策(和歌山県立医大・2内科), 丹羽 徹(和歌山県立医大・2内科), 出口 久暢(和歌山県立医大・2内科), 上田 和樹(和歌山県立医大・2内科), 井上 泉(和歌山県立医大・2内科), 前北 隆雄(和歌山県立医大・2内科), 井口 幹崇(和歌山県立医大・2内科), 加藤 順(和歌山県立医大・2内科), 一瀬 雅夫(和歌山県立医大・2内科)
抄録 【目的】肝硬変を背景とする胃静脈瘤や肝性脳症に対し,IVR治療としてバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)などの肝外シャント塞栓術が施行される.肝外シャント塞栓術が肝機能にどう影響を与えるのか検討した.【方法】2007年8月より2013年1月の間に,胃静脈瘤や肝性脳症に対してBRTOを施行した肝硬変症のうち非代償性肝硬変症20例を対象とした.内訳は胃静脈瘤治療目的8例,肝性脳症治療目的12例.平均年齢69.0歳,男性12例,女性8例.B型肝炎2例,C型肝炎13例,non B non C肝炎5例.Child B 18例,C 2例.術前,術後の血球数,肝機能,門脈臍部径を測定し,塞栓術によりどう変化したのか検討した.【結果】プロトロンビン時間,アルブミン値,アンモニア値,Child Pugh Scoreは術後有意に改善したが(p<0.01),血小板数,AST値,ALT値,ビリルビン値には有意な変化はなかった.門脈臍部径は術前平均6.5mmから術後平均7.9mmと有意に拡張した.腹水が増悪したのは3例で,改善したのは4例だった.脳症は11例で改善し,悪化した症例はなかった.食道静脈瘤は11例中4例で悪化がみられた.合併症は腹腔内出血が1例にみられた.【結論】肝外シャントの塞栓術により有効肝血流量が増加するため,肝機能の回復が期待できると考えられた.門脈臍部径が細く肝門脈血流量が少ないと予想される肝外シャント合併非代償期肝硬変には,肝機能回復を目指しシャント閉塞術を考慮すべきであると思われる.しかし術後の門脈圧上昇による食道静脈瘤の悪化や腹水の増加には注意が必要である.
索引用語 門脈圧亢進症, BRTO