セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症2)

タイトル 消P-87:

門脈圧亢進症に対する脾摘の有用性

演者 高村 博之(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 林 泰寛(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 正司 政寿(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 岡本 浩一(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 酒井 清祥(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 木下 淳(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 古河 浩之(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 中村 慶史(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 尾山 勝信(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 伊藤 博(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
抄録 当科では,門亢症に対して腹腔鏡下脾摘やHassab手術を積極的に行ってきたので,その有用性について報告する.脾摘は門脈圧の低下や汎血球減少の改善のみならず,肝機能も改善する.肝硬変合併肝癌では血小板低下が有意な予後規定因子とされ,その高度な低下はRFAや肝切除の施行,抗ウイルス療法の継続を困難なものにするので,生命予後の改善のためにも腹腔鏡下脾摘はきわめて有用である.【対象】対象は2007年から2012年までに門亢症に対して脾摘やHassab手術を行った60例である.59例が肝硬変症例で,ウイルス性肝硬変が47例で,NASHが3例,アルコール性が6例,その他が3例であった.血小板の高度低下を理由に肝癌に対する肝切除と同時に脾摘を行った症例が14例で,いずれも術後の経過は良好であった.【結果】脾摘後に門脈血栓を認めた症例は20例33%にのぼり,全例でXa活性阻害薬の投与と,それに引き続くワーファリンの投与が必要である.脾摘により血小板値のみならず白血球値も有意に上昇した.また,PT活性,T.Bil値,アルブミン値,アンモニア値,Child-Pugh値も明らかな改善を認めた.また,GSA-SPECTの肝クリアランス値やICG負荷試験値も改善し,脾摘によって外科的肝切除が可能となった症例も認められた.肝硬変に伴う小腸静脈瘤出血例も脾摘と静脈瘤の摘除により速やかに止血された.23例で脾摘後に肝癌の出現を認めたが,全例で安全にRFAや肝切除,肝動注,分子標的治療薬の導入が可能であった.汎血球減少で抗ウイルス療法を導入できなかったC型肝炎11例で脾摘後に抗ウイルス療法の継続が可能となり,2例でSVRが得られた.【結語】門亢症に対する脾摘やHassab手術は,門脈系の血栓症リスクを伴うものの,感染症のリスクは低く汎血球減少の改善と肝機能の改善を認め,生命予後を明らかに改善する.
索引用語 門脈圧亢進症, 脾摘