セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症2)

タイトル 消P-88:

バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)施行例の予後予測因子の解析

演者 富山 恭行(川崎医大・肝胆膵内科)
共同演者 吉岡 奈穂子(川崎医大・肝胆膵内科), 小山 展子(川崎医大・肝胆膵内科), 佐々木 恭(川崎医大・肝胆膵内科), 中島 義博(川崎医大・肝胆膵内科), 河瀬 智哉(川崎医大・肝胆膵内科), 仁科 惣治(川崎医大・肝胆膵内科), 原 裕一(川崎医大・肝胆膵内科), 吉田 浩司(川崎医大・肝胆膵内科), 日野 啓輔(川崎医大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】胃静脈瘤(GV)に対してバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)が行われることも少なくないが,累積生存率に及ぼす効果については不明の点も多い.そこでB-RTO症例の予後予測因子について検討した.
【方法】対象は2000年から2012年の間に当科でB-RTOを施行した23症例であり,その治療成績,累積生存率ならびに予後予測因子について検討した.
【成績】平均年齢67歳,男女比16/7,平均観察期間30ヶ月で,背景肝は全例肝硬変(B型/C型/アルコール性/非B非C型/自己免疫性:2/7/9/3/2)であった.肝予備能はChild A/B/C (10点)が7/12/4であり,治療内訳はGV破裂後治療が9例,破裂予防治療が11例,肝性脳症治療が3例であった.B-RTO治療後(1, 3, 6, 12ヶ月)のALB値,Child-Pugh scoreは治療前に比べて有意に改善した.GVに対する治療効果は再発が1例のみで高い治療効果が得られた一方,食道静脈瘤(EV)の累積非増悪率(1年/2年/3年/4年)が86/63/51/38%で経時的にEVが増悪した.累積生存率(1年/3年/5年)は74/68/45%であり,Child Cは他の2群と比較して有意に予後不良であった.Cox比例ハザードを用いた予後因子の単変量解析では,B-RTO後の食道静脈瘤(EV)増悪,B-RTO前のT-Bil値,ALB値,青色EVの有無,Child-Pugh scoreであり,多変量解析ではEV増悪(HR;11.63,P=0.039)とB-RTO前T-Bil値(HR;4.87,P=0.019)が有意な予後不良因子であった.
【結論】B-RTOはGVに対して比較的安全かつ有効な治療法であるが,治療早期にEVが増悪する症例は門脈血流の増加も期待できず肝機能の改善が望めない可能性が高いため,今後はこうした症例に対するB-RTOの適応や他の治療との組み合わせについて更なる検討が必要と思われた.
索引用語 B-RTO, 予後因子