セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症2)

タイトル 消P-89:

部分的脾動脈塞栓術(PSE)の長期予後

演者 富安 真二朗(熊本地域医療センター・外科)
共同演者 岡部 和利(くまもと森都総合病院・外科), 小森 宏之(くまもと森都総合病院・外科), 田中 洋(熊本地域医療センター・外科), 石川 晋之(熊本地域医療センター・外科), 杉田 裕樹(熊本地域医療センター・外科), 佐野 収(くまもと森都総合病院・外科), 山中 剛(くまもと森都総合病院・外科), 有田 哲正(熊本地域医療センター・外科), 八木 泰志(熊本地域医療センター・外科), 廣田 昌彦(熊本地域医療センター・外科), 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学)
抄録 【背景】IFN療法導入やTACEなどの加療目的にChild-Pugh A/Bである慢性肝炎・肝硬変の血小板低値例に対して部分的脾動脈塞栓術(PSE)や脾摘術を行っている. 【目的】PSE と脾摘の有用性や安全性を比較検討し, PSEの長期予後を明らかにすること.【対象と方法】2013年3月までにPSEを施行した56例(計59回)と腹腔鏡補助下脾摘術を施行した12例を対象. PSE/脾摘前後の血小板数, T-Bil, ALB, PT, ALP, ChEの変化と合併症, IFN導入日数について検討した.またPSE群の長期予後やIFN導入群(PSE-IFN)のSVR率を検討.【結果】1)PSE群56例は男性28例, 女性28例. 平均58.6歳 (45~75歳)でChild-Pugh A/B は39/17例. PSEの目的はIFN導入40例, 出血傾向改善・治療目的16例.TACE同時施行は8例. 脾摘群12例は男性6例, 女性6例. 平均60.6歳 (46~73歳)で, Child-Pugh A/B は8/4例. 脾摘の目的はIFN導入10例, 治療目的2例. 2)PSE群56例での術前脾体積は619ml, 梗塞体積425mlで平均梗塞率は70%, 血小板数はPSE前5.9±1.6万/μl, PSE1ヶ月後10.3±4.9万/μlで有意に上昇. 術後2週間でALB低下を認めたが, 術後1年ではPT, ChEは有意に上昇. IFN導入40例で導入日数は27日. PSE後の発熱以外の合併症は34%. 梗塞脾体積540ml以上で有意に多かった(p=0.0114). 脾摘群では術前脾体積は382mlで血小板数は5.7±1.5万/μl, 術後1ヶ月後15.2±7.9万/μlでPSE群より有意に上昇. 合併症は25%に認め, IFN導入日数は89日. 3)PSE群56例の5年生存は81%であり, 中止・治療中を除くPSE-IFN群34例でのSVR率は53%.肝細胞癌(HCC)は19例. 新規発症10例, 加療中9例, 同時TACEは8例. 発癌までは平均702±437日.【結語】PSE1ヶ月後には血小板数平均4.4万/μlの増加が見込め, 脾摘に比し簡便にIFN導入が出来る. 巨脾症例では合併症が多くなるが, 肝機能改善もみられ, 長期予後も良好.
索引用語 PSE, 脾摘