セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(肝不全,移植) |
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タイトル | 消P-90:難治性腹水合併非代償性肝硬変患者に対する腹水濾過濃縮再静注法の検討 |
演者 | 川口 雅功(済生会和歌山病院・消化器内科) |
共同演者 | 山原 邦浩(済生会和歌山病院・消化器内科), 文野 真樹(済生会和歌山病院・消化器内科), 合田 杏佑(済生会和歌山病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】腹水濾過濃縮再静注法(Cell-free Concentrated Ascites Reinfusion Therapy:CART)は難治性腹水患者に対する治療で,単純穿刺排液では廃棄されてしまう腹水中の自己蛋白(アルブミン)を再利用(静注)する方法で,血液製剤使用による感染リスクの減少や医療費の節減に寄与するとされているが,手技が煩雑なこともあり,全国的に施行している施設は未だ少数である.今回我々は非代償性肝硬変患者を対象にCARTを施行し,若干の検討を行ったので報告する. 【対象と方法】2006年から2012年に当院で経験した9例,男/女:9/0例,年齢63±9歳,HBV/HCV/Alcohol:1/6/2例,Child-Pugh Score 9/10/11/12点:3/4/1/1例,HCC合併:7例(78%),食道静脈瘤合併:5例(56%),肝性脳症合併 1例(11%),Alb 2.6±0.3g/dl,TB 2.1±2.0mg/dl,PT 66.4±12%,Cr 2.1±1.6mg/dlであった. 【成績】平均CART施行回数:40.9±43.6回(1-117回),平均処理量:3.2±1.9L(0.9-7.3L),平均観察期間:22.3±19.9か月(2-70か月)において死亡例は4例で,生存期間はそれぞれ3か月,17か月,27か月,38か月と長期生存例も認められた.経過中の合併症は食道静脈瘤破裂 1例,特発性細菌性腹膜炎 2例であった.全例CART施行後に腹部膨満感が急速に軽減することで食事摂取量が増加し,明らかにQOLの改善をみた. 【結論】難治性腹水合併非代償性肝硬変患者に対するCARTはQOLの面からも優れており,腎不全合併例においても長期生存例が見られたことから,肝硬変重症例であっても腹水治療の一つのとして検討されるべきである. |
索引用語 | 腹水濾過濃縮再静注法, 肝硬変 |