セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(肝不全,移植) |
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タイトル | 消P-91:難治性腹水に対する治療法の検討 |
演者 | 加藤 文一朗(国立名古屋医療センター・消化器科) |
共同演者 | 岩瀬 弘明(国立名古屋医療センター・消化器科), 都築 智之(国立名古屋医療センター・消化器科), 島田 昌明(国立名古屋医療センター・消化器科), 平嶋 昇(国立名古屋医療センター・消化器科), 龍華 庸光(国立名古屋医療センター・消化器科), 久野 剛史(国立名古屋医療センター・消化器科), 田中 優作(国立名古屋医療センター・消化器科), 喜田 裕一(国立名古屋医療センター・消化器科), 江崎 正哉(国立名古屋医療センター・消化器科), 浦田 登(国立名古屋医療センター・消化器科) |
抄録 | 【目的】通常治療で対応困難な難治性腹水に対する治療として,Denver shunt,腹水濃縮再静注,トルバプタンの治療効果を検討した.【対象と方法】2010年4月~2013年2月のDenver shunt施行例 6例(C型肝硬変,NASHによる肝硬変,アルコール性肝硬変,膵臓癌,門脈圧亢進症,原因不明それぞれ1例),腹水濃縮再静注施行例63例(肝硬変の成因はアルコール性22例,B型3例,C型16例,NASH 2例,また,門脈圧亢進症2例,肝細胞癌以外の悪性腫瘍13例,原因不明5例)における治療効果について後ろ向きに検討を行った.【成績】Denver shunt 施行例6例のうち4例では術後6週間以内に死亡し,2例では5か月生存した.術後平均予後は64.5日であった.死因はDIC3例,消化管出血1例,肝不全1例,特発性細菌性腹膜炎1例であった.DIC発症例の術後平均予後は28日であった.腹水濃縮再静注の期間中総試行回数は260回であった.生存は12例,死亡は44例,追跡困難例は7例であった.死因は肝不全18例,静脈瘤破裂3例,肝細胞癌4例,胃癌,膵癌,大腸癌はそれぞれ5例,3例,1例であった.細菌性腹膜炎は5例で認められた.その他の原因は5例であった.腹水濃縮再静注施行例での生存期間,治療期間,施行回数の中央値はそれぞれ,2.5か月,0.5か月,3回/人であった.生存例ではそれぞれ15か月,0.875か月,4回/人,死亡例ではそれぞれ1.5か月,0.25か月,2.5回/人であった.また,腹水濃縮再静注施行例63例のうち心不全を合併している5例においてトルバプタンの使用を行い,1例で有効であった.【結論】Denver shunt 施行例では致命的な術後合併症の頻度が高く,症例の選択に関しては慎重にならざるを得ない.一方,腹水濃縮再静注施行例では,長期生存が望める症例に対しては,一時的な腹水のコントロールの改善を認め,ADLの向上に寄与すると考えられた.これらの治療を組み合わせても効果のある症例は限られており,さらなる新規治療法の開発が望まれる. |
索引用語 | 難治性腹水, 肝硬変 |